その固定資産、稼いでいますか①
含み損のある土地や建物があれば、
「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」
と言い続けています。
固定資産から外すのです。
しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。
固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。
なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。
①電話加入権
稼がない固定資産の代表選手といえば、“電話加入権”です。
今も決算書を拝見すると、
社歴30年以上の会社であれば、7割程度は固定資産に残っています。
今や資産価値はありません。
M&Aで資産の査定をするときには、
電話加入権はゼロ円、無価値なのです。
電話加入権があるのを見つけたら、
「別会社か社長個人が、1本1000円で買いなさい。」
と言っております。
電話加入権は1本概ね7万円です。
1000円で売れば、加入権1本につき、
6万9000円の固定資産売却損を特別損失で計上できるのです。
実務的にはまず、116に電話を入れて、
「電話加入権を譲渡したいのですが、どうすればいいでしょうか?」
と尋ねます。すると、
「承知しました。電話加入権の譲渡承認請求書をお送りしますので、
譲渡する電話番号と譲渡先など記入して、申請してください。」
と言われます。
(電話加入権譲渡承認請求書は、ネット検索すれば、
NTTのホームページからもダウンロードできます。)
譲渡承認請求書には、
請求書の送付先と支払方法のチェック記載箇所があります。
いずれも“今まで通り”とすればよいのです。
会社が電話代を滞納して払わない時には、
電話加入権の保有者に請求が来ます。
そんなことはありえないはずです。
ここまでが、譲渡することの承認です。
あとは、個人や別会社とで
「電話加入権譲渡契約書」を締結すればよいのです。
決まったフォーマットはありません。簡単な譲渡契約書でいいのです。
どこに提出するものでもありませんから。
譲渡価格は1本1000円で構いません。
もはや無価値なので、
1000円では安すぎる、ということは全くないのです。
電話加入権を売却して除却損を出せば、
その金額の約40%は、節税できるのです。
100万円なら40万円、キャッシュが残るのです。
40万円の純利益を出してお金を残すのは大変です。
それが除却損なら、簡単にお金を残すことができるのです。
電話加入権のお金がNTTから返還されることはありません。
かといって、どこが買ってくれるものでもありません。
それであれば、別会社か個人が買う、
という形で、稼がない不良資産を移動させればよいのです。
(古山喜章)
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