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2024年9月 5日 (木)

その固定資産、稼いでいますか④

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

④美術品・書画骨董

 

自分の趣味の買い物に多額のお金を使い込む、

という実態も、何度となく見てきました。

よくあるのは、絵画などの美術品やクラシックカー等です。

1点当たりの価格もかなり大きいです。

 

しかも、

1度購入すると、画廊やバイヤーからは、セールスの情報が入ります。

「この品はなかなか出てこないので、

社長に先に連絡させてもらいました。ダメなら他の方に連絡します。」

などと言われると、コレクター魂に火が付きます。

で、さらに買ってしまうのです。

 

多額の借入金を背負っているにも関わらず、

固定資産で多数の美術品やクラシックカーを抱えている、

という会社がありました。

特に自動車は置く場所も必要となり、メンテナンスの費用もかかります。

 

「すぐに売却して借金返済にあてなさい!」

と言いました。すると、こう言うのです。

「いやぁ、いま売るのはもったいない…。」

「こんなときに何を言ってるんですか!

 このまま会社がつぶれたら、結局全部手放すしかないですよ!」

などと言い続けると、ようやく一部を売却し始めました。

 

また別の会社でのことです。

貸借対照表に「美術品」とあり、200万円の簿価でした。

「どんな美術品ですか?」とお聞きしました。

「親戚の叔母が趣味で描いている絵を買ってあげました。」

「その人は有名な画家なのですか?」

「いえ、単に絵が趣味なだけです。」

 

「美術品」というのは、美術年間に掲載されたり、

美術品のオークションで売買されるようなものです。

その社長に言いました。

「それは社長が会社から1000円で買って、売却損を出してください。

 税務調査で聞かれたら、騙されて買わされたとでも言ってください。

 なんでも鑑定団でも、値打ちのないものは1000円が多いでしょ。」

 

会社のお金を公私混同で自分の趣味につぎ込み、

借入金をして財務体質を窮地に追い込んでしまう。

悲しいかな、中小企業には、そのようなことが起こりうるのです。

マサカの坂がいつやってくるかわからないこの時代に、

そんな余裕は本来ありません。

会社で稼いだお金は会社のものです。

そのお金は、会社の稼ぎに繋がる資産に使うべきなのです。

 

(古山喜章)

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