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2024年10月

2024年10月31日 (木)

経営トップの健康トラブル対応④

経営トップの高齢化が進んでいます。

高齢化により気になることのひとつが、健康上のリスクです。

健康管理をしているつもりでも、

急に業務執行ができない状態に陥る、ということもあるのです。

困るのは、経営トップ以外の経営陣や親族です。

何かあった時のために、というのであれば、

高齢経営トップのリスク対応こそ、進めておいてほしいのです。

 

④銀行借入金はどうなっているのか

 

現役社長の命がもう長くないとわかった時、

銀行借入金についても、確認してほしいのです。

借入金の総額程度はわかっていても、

どこの銀行から、どのような条件で借りているか、

まで把握している後継者は意外に少ないのです。

 

なんといっても、個人保証がどうなっているのかです。

調べてみれば、

複数の借入金のうちの数本が、個人保証に入ったままだった、

ということが、まあまああります。

特に5年以上前に契約した借入金だと、ありがちです。

金融庁は個人保証を禁じていますが、5年前は、

銀行に対してそれほど厳しくなかったのです。

 

今は、新たに個人保証を取る場合は、

その理由を金融庁に報告する義務があります。

加えて、前任社長が個人保証をしていたからといって、

後継者がそれを当然のごとくに受け継ぐ必要はない、とされています。

個人保証を受け継ぐのがイヤで、

事業承継がされなかった、という事例が多いからです。

 

それでも銀行は、現社長が亡くなった場合、

後継者となる社長に個人保証の承継をお願いしてきます。

そんなときはきっぱり、

「個人保証は受け継ぎません。

 どうしても必要というのなら、財務局に確認します。」

と言えばよいのです。

 

また、急に社長が倒れ、銀行借入金を調べると、

個人保証に入っている借入金がある、とわかったなら、

銀行に事情を先に説明し、

「会社は受け継ぎますが、個人保証は受け継ぎません。」

と伝えておけばよいです。

で、それでも個人保証を求めてきたら、

“財務局に確認します。”

のフレーズを使えばいいのです。

 

後継者が困らないためにも、

現社長は個人保証を今のうちに外しておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月30日 (水)

経営トップの健康トラブル対応➂

経営トップの高齢化が進んでいます。

高齢化により気になることのひとつが、健康上のリスクです。

健康管理をしているつもりでも、

急に業務執行ができない状態に陥る、ということもあるのです。

困るのは、経営トップ以外の経営陣や親族です。

何かあった時のために、というのであれば、

高齢経営トップのリスク対応こそ、進めておいてほしいのです。

 

➂生命保険はどうなっているのか

 

現役社長の命がもう長くない。

ある日突然、そうなることがあります。

急に倒れてしまった、事故にあった。末期ガンが発覚した、等など。

その時に確認してほしいのが、

法人契約している、社長の死亡保険金がいくらなのか、です。

 

社内で即答できる人は、ほぼいません。

会社で使っている保険代理店などの業者を通じて確認してもらうのです。

調べてみたら、

8億円もの保険金が一気に会社に入ってくることがわかった、

という会社が過去にありました。

保険金が8億円入ると、特別利益となり課税対象です。

8億円入ってきても、40%の3.2億円は税金で消えます。

 

この時に知ったのが、

保険金を『年金受け取り払い』にすればいい、というものです。

1度に全額の保険金が入るのではなく、

複数年度に分けて会社に入る形に切り替えるのです。

5年、10年、15年、20年など、選択肢は広いです。

保険会社から申請用紙を入手し、押印して申し込むのです。

亡くなる前日までに、保険会社へ届けば受け付けてもらえます。

 

先ほどの8億円の保険金の時は、10年にわけて、

保険金を受け取ることにしました。

10年間、毎年8千万円の保険金が入るのです。

一気に8億円入るよりも、その方が税金対策はやりやすいです。

「じゃあ、最初から年金受け取り払いにすればいいのでは?」

と思うのですが、契約時にはない特約なのです。

保険契約後にのみ切り替えることができる、特約なのです。

そのため、法人保険に詳しくない保険屋だと、

『年金受け取り払い』のことを知らない場合があります。

「そんなのは聞いたことがない。」等と平気で言われます。

 

死亡時の生命保険の金額を確認して、

そう大した金額でなければ、死亡退職金にあてればいいのです。

ただ、非常時でなくとも、

契約済み保険の死亡保険金の額を確認して、

大きい金額のものは早めに『年金受け取り払い』に切り替えて

おいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月29日 (火)

経営トップの健康トラブル対応②

経営トップの高齢化が進んでいます。

高齢化により気になることのひとつが、健康上のリスクです。

健康管理をしているつもりでも、

急に業務執行ができない状態に陥る、ということもあるのです。

困るのは、経営トップ以外の経営陣や親族です。

何かあった時のために、というのであれば、

高齢経営トップのリスク対応こそ、進めておいてほしいのです。

 

②代表取締役をどうするのか

 

現役社長が急な病で経営指揮を取れなくなる、

というケースがありました。

その時も、後継者から連絡が入りました。

「代表取締役社長が倒れて、

今後のことをいろいろ決めないといけないのですが、

 どうすれいいんでしょうか?」

といった内容の相談を受けました。

 

取締役の人数を確認すると、社長以外に

専務取締役が1名と、常勤取締役が後継者含め3名いました。

「それなら取り急ぎは専務が意思決定すればいいし、

 おそらく定款には、社長に事故等あるときは専務が、

 て書かれていると思うので、定款を確認してください。」

と伝えたところ、

「書いてます!」となりました。

 

ただ、その後継者は言いました。

「倒れた社長は回復の見込みが薄いですし、

今後の代表取締役はどうすればよいでしょうか?」

代表取締役を決めるのは、取締役会です。

現社長が業務執行できないような状況であれば、

先に次の代表取締役を取締役会で決議します。

一時的に二人が代表取締役となる形にしておけばよいのです。

そうしておけば、

現社長に万一のことがあっても、会社の意思決定には支障がありません。

 

このような場合、専務が代表に就任するのが妥当ではあります。

が、その会社では現社長の次は社長の長男が代表のバトンを継ぐ、

と専務と社長との間で、あらかじめ取り決めがあったのです。

なので専務は、

「自分は専務のままでいいから、あなたが代表取締役になればよい。」

と社長の息子に伝え、その内容で取締役会での決議を得たのです。

 

この会社の場合、

取締役が複数おり、後継者も含まれていたので、

急な事態でも、事がスムーズに進みました。

これが、取締役はそもそも社長のみ、となると、

株主総会で取締役を選任するところから始めなければなりません。

しかもその株式の過半数を意思決定できなくなった現社長が持っている、

となると、ますますやっかいなことになってゆきます。

 

経営トップが高齢になり、健康リスクがあるのに、

取締役は自分だけ、株式もほぼ自分だけ、となると、

後継者にとってはもう、リスクの固まりです。

「自分は大丈夫!」という言葉は、単なる過信です。

経営者が60代半ばに差し掛かるまでには、

取締役の体制を見なおしておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月28日 (月)

経営トップの健康トラブル対応①

経営トップの高齢化が進んでいます。

高齢化により気になることのひとつが、健康上のリスクです。

健康管理をしているつもりでも、

急に業務執行ができない状態に陥る、ということもあるのです。

困るのは、経営トップ以外の経営陣や親族です。

何かあった時のために、というのであれば、

高齢経営トップのリスク対応こそ、進めておいてほしいのです。

 

①株式がどうなっているのか

 

「社長が急に倒れて意識不明になりました!」

このような連絡が入ることが、時折あります。

連絡をされてくる方は概ね、同じ質問をされます。

「いま、何をしておけばよいでしょうか?」

そのタイミングで相談できる人が、いそうでいないのです。

 

こちらとしては、そのような時にまず気になるのは、

「株式はどうなっていますか?」ということです。

後継者が議決権の過半数以上を持っている状況なら、

ひとまず安心です。

しかし、そうではない場合もあります。

対応策も、状況によって異なります。

倒れて動けないけれども、意識はある状態なのか。

動けず意識もなく、回復の見込みはほぼない、という状況なのか。

 

動けないけれど意識はある、というのなら、

株式を後継者へ早急に移すべく、ご本人の了承を経て、

必要な対策を進めることができます。

贈与、譲渡、種類株式の導入など、

有効な手立てを急ピッチで進めてゆきます。

 

しかし、

ご本人はすでに意識がない、という状態だとやっかいです。

何か有効な策を打とうとしても、本人の了解が取れないのです。

「本人の了解は取れないけれど、ここはそうしましょう。」

で関係者が全員OKであれば、なんとかなります。

ところが、そのような場合、反対する人が現れることがあります。

「本人の了承なしに、そんなことはやってはいけない。」

と言い張る人が現れるのです。

親族であったり、顧問税理士であったり、さまざまです。

ごもっともですが、迷惑です。

そうなると結局、株式対策は相続で、ということになります。

評価額が高いほど、特に事業を継ぐ後継者には、

高額の経済負荷がかかります。

 

高齢になっても代表であり続けることはあるでしょう。

その場合であっても、株式対策は進めておいてほしいのです。

不測の事態は突然やってきます。

高齢になれば、そのリスクは高まるのです。

このような事例に向き合う都度、

株式対策は早めに済ませておいたほうが良い、

と実感するのです。

 

(古山喜章)

2024年10月25日 (金)

更正処分してもらいました⑤

「国税局としては、これ以上は、譲歩することはできません。

今週中に修正申告するか、決定してください。

修正申告に応じていただけないのであれば、

国税局としては、更正処分にふみきります」

 

こう告げられました。

 

修正申告か、更正処分してもらうか、

両者の間で、大きく揺れ動く日が続きます。

 

~社長の思考回路~

 

「これまでさんざん、あぁでもない、こうでもない、

とやってきた。当初3億が、半分の1億5000万円まで下がった。

 

国税局も、もう譲歩しない、と言っているし、

弁護士の見解や、参考文献からも、

当社(神戸商事-仮称)が勝てるという見込みは高くない。

 

こんな後ろ向きなことに、エネルギーを使うより、

もっと、前向きなこと、会社をどうするか?どう立て直すか?

にエネルギーを費やしたほうが生産的だ。

 

銀行も、修正申告することには理解を示してくれている。

修正申告したほうが、気持ち的に楽になれそうだ。」

 

こんな感じです。

 

税務調査を受けたことのある社長で、

喧々諤々、税務署とやりあっている方なら、

少なからず、この社長の気持ちは分かると思います。

 

私も、この社長の気持ちについて、

全く分からない、というわけではありませんでした。

この先、当局と更にやりあうとなると、

その準備に時間をとられます。

勝負に負けた場合は、そのダメージも大きいです。

 

しかし、冷静に、冷静に考えてみると、

やはり、納得できない。

 

「やっぱり、更正処分してもらいましょう。

いくところまでいきましょう」

 

こうして、今夏、大阪国税局から

更正通知を受け取りました。

 

~つづく~

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月24日 (木)

更正処分してもらいました④

「更正処分してください」

と国税局に伝えてから、9ヶ月たって、

正式に更正処分通知を受け取ったわけですが、

その間、国税局とは幾度となく、やり取りをしました。

 

そんななかで、一つの決定がくだされました。

 

実は、神戸商事は、法人として、

書類送検されていたわけですが、

不起訴処分となったのです。

 

これはつまり、神戸商事は、

会社として組織的関与が認められなかった、

と認定してもらったようなものです。

 

これまで、「会社が主導して不正をやっていた」として、

国税局も声高に主張していたところで、

この地検の処分決定は、神戸商事に大変プラスとなりました。

 

まもなく、合計3億円の追徴方針が、

  • 5億円に減額になりました。

 

2つのテーマがあったところ、

1つのテーマは、国税局自ら、

勝ち目がないと判断したのか、

取り下げてきたわけです。

 

そのうえで、お決まりのセリフ、

「国税局としては、これ以上は、譲歩することはできません。

今週中に修正申告するか、決定してください。

修正申告に応じていただけないのであれば、

国税局としては、更正処分にふみきります」

 

こう告げられました。

 

この間、銀行団とは、何度となく調整してきました。

今回は、割愛しますが、

銀行団との調整も、なかなか骨が折れる作業でした。

 

銀行団も、意見がなかなかまとまらないわけですが、

最終的には、「早いところ、手を打っては?」と

早期の手打ち(修正申告)を勧められました。

 

この時点で、かれこれもう1年数カ月が経過しており、

弁護士の意見を聞いたり、あるいは、

参考文献、過去の判例を調べたりして、

この勝負、突き進んだところで、果たして勝機があるのか?

 

神戸商事の社長とも、頻繁に打合せをします。

 

色々と考えると、ここで手を打とうか、

という想いが、一瞬脳裏をよぎるわけです。

 

修正申告か、更正処分してもらうか、

両者の間で、大きく揺れ動く日が続きます。

 

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月23日 (水)

更正処分してもらいました③

税務調査があった場合、

最終的には、3つのパターンのいずれかになります。

 

①申告是認

②修正申告

③更正処分

 

③については、言葉としては知っていても、

実際に、経験している会社、経営者は、

ほとんどいないでしょう。

 

今回、神戸商事(仮称)は、

当局に更正処分をしてもらい、

処分不服として、裁判に進もうとしています。

 

「更正処分してください」

と国税局に伝えてから、9ヶ月たって、

正式に更正処分通知を受け取ったわけですが、

その間、国税局とは幾度となく、やり取りをしました。

 

もともと、国税局からは、

2つのテーマの指摘を受けていました。

各テーマで、それぞれ追徴は1億5000万円以上、

合計3億円ほどの追徴でした。

 

神戸商事は、財務体質が弱くて、

とてもそんなお金を用意できません。

 

メインバンクの信用金庫に相談するも、

銀行側の言い分としては、

 

「銀行返済もストップしていている状況で、

税務当局への追徴を融資するということについて、

銀行団の理解を得るのは、かなり厳しいです」

という意見をもらいました。

 

そりゃそうです。

銀行も貸したお金を、利子付きで返済してもらうのが仕事。

 

税務署への支払いを優先して、

自分たちの貸付金が返済してもらえなければ、怒ります。

 

国税局には、幾度となく

「神戸商事さん、もうこれが最後ですよ!

○日までに修正申告いただけなければ、更正処分に向けて動きだしますよ!」

と言われましたが、都度、こういった資金事情も伝えながら、

のらりくらりと時間を使います。

 

調査官は、明らかにイラついています。

 

そんななかで、神戸商事にはプラスとなる、

一つの決定が下されました。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月22日 (火)

更正処分してもらいました②

税務調査があった場合、

最終的には、3つのパターンのいずれかになります。

 

①申告是認

②修正申告

③更正処分

 

③については、言葉としては知っていても、

実際に、経験している会社、経営者は、

ほとんどいないでしょう。

 

今回、神戸商事(仮称)は、

当局に更正処分をしてもらい、

処分不服として、裁判に進もうとしています。

 

今年の年初のブログに書いたのが、

以下の記事です。

 

国税局との我慢比べ

国税局との我慢比べ

国税局との我慢比べ③

国税局との我慢比べ④

 

「更正処分してください」と伝えてから、

約9ヶ月たって、実際に、

更正処分してもらいました(更正通知を受け取りました)。

 

この間、当局との間では、

色々な折衝や駆け引きがありました。

 

経営者もそうですし、私のなかでも、

頭の中が、右にいったり、左にいったり、

気持ちが揺れることもありました。

 

というのは、神戸商事(仮称)は、

財務体質がわるく、単に国税局とのやり取りだけを

考えればよいわけではなく、

銀行団との折衝、交渉もあったからです。

 

ご存じない方もいらっしゃると思いますが、

銀行返済が難しくなってくる、あるいは、

銀行から、「これ以上は貸せません」となり、

ひっぱく度が大きくなってくると、

バンクミーティングといって、融資している銀行が、

一同に集まって、足並みをそろえるための会議を行います。

 

神戸商事(仮称)の場合、

メガバンク、地方銀行、信用金庫、組合、

さらには、信用保証協会など、関連するのは、10社ありました。

 

国税局との交渉の他に、

こうした銀行団への説明、折衝もあり、

とにかく、骨が折れるのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月21日 (月)

更正処分してもらいました①

税務調査があった場合、

最終的には、3つのパターンのいずれかになります。

 

①申告是認

②修正申告

③更正処分

 

①申告是認 

申告内容に間違いがなかった場合です。

申告に間違いがないと認められた場合でも、

指導事項がある際には、その旨の説明や指導が行われます。

この形で調査を終えることが理想です。

 

②修正申告

調査官から、申告内容に問題点あり、と指摘を受け、

こちらが自発的に申告を修正することをいいます。

    

何か問題があった場合は、

修正申告を勧められるのが一般的です。

実務上は、この修正申告をする割合が、一番多いと思います。

 

指摘に不服があったとしても、修正申告を出してしまった場合は、

原則として後から不服の申し立てをすることはできません。

 

③更正

こちら(会社)が修正申告をしない場合に、

税務署長が職権で納税者の申告内容を改め、

正しい税額を通知する処分をいいます。

こちら(会社)に、「更正通知書」が送付されます。

 

納税者はこの処分に不服であれば、

税務署長あてに再調査の請求、

または、国税不服審判所に審査請求をすることができます。

 

実務上、この③のケースは、少ないです。

 

「不服があったら、戦いなさい。」

と言われることは多いですが、

実際に、戦っている会社は、ごくわずかです。

 

現在、この③が現在進行形の会社があります。

その内容について、ご紹介していきます。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月18日 (金)

損益分岐点売上高をどう見るか④

損益分岐点売上高は、損も益もない、

収支トントンの状態です。その計算式は、

 固定費 ÷ 限界利益率 とされています。

しかし時折、次のようなお声を聞くのです。

「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」

「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」

そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が

ゼロになる売上高を計算しているだけです。

実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。

 

④製造原価報告書があるとわかりづらい

 

損益分岐点売上高を計算する際、

損益計算書に製造原価報告書があると、ちょっと計算が面倒です。

 

製造原価報告書は、

損益計算書の原価部分に、含まれています。

特にメーカーの決算書で見かけることが多いです。

その場合、売上高から製造原価を差し引いて、

売上総利益となっています。

 

製造原価報告書がなければ、

損益計算書の売上総利益=限界利益として、

固定費÷限界利益率 で計算すればいいです。

固定費は、販売管理費です。

 

しかし、製造原価報告書があるとそこには、

人件費や消耗品、減価償却費など、原価以外の費用が含まれています。

製造部門での原材料以外の費用、が含まれているのです。

原価とそれ以外の費用が混在しているのです。

 

限界利益というのは、

売上高から、単純に原価を差し引いた金額です。

原価は、売上が増えれば同じように増える、いわゆる変動費です。

製造原価報告書にある、原材料費や外注費など、

売上高の増加に比例して増える費用です。

 

製造原価報告書にある、人件費、消耗品費、減価償却費、

旅費交通費など、原価以外の費用は、

販売管理費にプラスして、固定費として計算するのです。

そうしないと、冒頭の計算式で計算しても、

なんだかしっくりこない数字になってしまうのです。

 

結局、製造原価報告書があると、限界利益がわかりづらいのです。

そのため、損益計算書から製造原価報告書を外して、

通常の原価と販売管理費のみにしている会社もあります。

中小企業の場合、製造原価報告書は、なくても構わないのです。

 

損益分岐点売上高は、大切な経営指標です。しかし、

損益計算書に製造原価報告書があると、計算しづらいのです。

「うちの決算書には製造原価報告書がある。」というのなら、

限界利益がわかりやすい損益計算書に変えることを、

検討してほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月17日 (木)

損益分岐点売上高をどう見るか➂

損益分岐点売上高は、損も益もない、

収支トントンの状態です。その計算式は、

 固定費 ÷ 限界利益率 とされています。

しかし時折、次のようなお声を聞くのです。

「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」

「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」

そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が

ゼロになる売上高を計算しているだけです。

実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。

 

➂減価償却費は外して考える

 

設備投資が大きい業種をされている会社の社長が言いました。

「うちは設備投資が大きいので、減価償却費が大きいです。

 それに銀行借入の返済もそれなりにあるので、

 普通に損益分岐点売上高を計算しても、あまりピンとこないんですよ。」

 

確かに、普通に損益分岐点売上高を計算して、

営業利益がゼロとなる売上高がわかっても、

減価償却費が大きければ、その分、キャッシュは残ります。

一方、借入返済は計算式に加味されていない、お金の支出です。

金利の支出もあります。

ピンとこないという気持も、よくわかります。

 

会社のお金の動きを把握しているほど、

普通の損益分岐点売上高の計算式では、しっくりこないのです。

なのでその社長は、

(固定費+返済金+金利 ― 減価償却費)÷ 限界利益率

の計算式で、

自社の損益分岐点売上高を算出することになったのです。

 

返済金や金利は支出なので固定費にプラスし、

減価償却費は支出のない経費なので、

固定費からマイナスしたのです。

「これでようやく、

納得できる数字が計算できるようになりました!」

と、その社長は喜んでおられたのです。

 

通常の固定費となるのは、販売管理費です。

しかし、それが支出の全てではありません。

毎月発生する返済や金利があれば、それも固定費です。

一方、減価償却費はお金の支出なき経費なので、

固定費から外して考えないとおかしくなります。

 

普通に損益分岐点売上高を計算して、

しっくりこないというのなら、

お金の動きの実態に合わせて、

計算式を少し改良したほうがいいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月16日 (水)

損益分岐点売上高をどう見るか②

損益分岐点売上高は、損も益もない、

収支トントンの状態です。その計算式は、

 固定費 ÷ 限界利益率 とされています。

しかし時折、次のようなお声を聞くのです。

「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」

「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」

そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が

ゼロになる売上高を計算しているだけです。

実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。

 

②法人税が入っていない

 

ある経営者が言いました。

「わが社は毎年概ね5千万円程度の法人税を払ってます。

 損益分岐点売上高の計算式には、法人税は加味されていないですよね。」

 

その会社は、無借入金だったので、返済や金利はありませんでした。

しかし、税引き前利益が出ていれば当然、法人税が発生します。

地方税も含めれば最終的に、税引き前利益の約40%と

見たほうが良いでしょう。

その金額が、その会社では約5千万円だったのです。

それも、この数年間は大きな金額差がなく発生していました。

 

そのため、

通常の計算式で損益分岐点売上高を計算しても、

その会社の経営者には、違和感があったのです。

なので、その会社では、

法人税の5千万円も固定費に組み入れて、

損益分岐点売上高を計算するとことにしたのです。

 固定費 ÷ 限界利益率 の固定費に、5千万円も足して、

計算されたのです。

 

「これでようやくすっきりしました。」

と、その経営者は言いました。

その経営者にすれば、

営業利益がゼロとなる損益分岐点売上高がわかるより、

法人税が毎年と同じ5千万円発生して支払うには、

どの程度の売上高が必要なのか、を知りたかったのです。

その会社では今も、

自社の損益分岐点売上高を計算するのに、

法人税の5千万円を加味して計算されているのです。

 

それは、その経営者が資金繰りをチェックしていたから、

そうなったのです。

言い方を変えれば、貸借対照表がわかるから、そうなったのです。

損益計算書のみの考え方では、このような疑問が起こらないのです。

一般的な計算式に捉われることなく、

うちはこれも固定費だな、

というものは、加味して考えればよいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月15日 (火)

損益分岐点売上高をどう見るか①

損益分岐点売上高は、損も益もない、

収支トントンの状態です。その計算式は、

 固定費 ÷ 限界利益率 とされています。

しかし時折、次のようなお声を聞くのです。

「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」

「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」

そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が

ゼロになる売上高を計算しているだけです。

実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。

 

①返済と金利が入っていない

 

銀行借入金があると、毎月の返済や金利が発生します。

借金がある会社は、返済も金利も固定費みたいなものです。

しかし、一般的にある損益分岐点売上高の計算式では、

返済や金利が加味されません。

金利は営業利益よりも下に記載される、営業外費用です。

返済は損益計算書には全く出てきません。

貸借対照表にしか現れないのです。

 

「損益分岐点売上高は越えているのに、資金繰りが厳しい!」

と嘆いても、当り前なのです。

「先生、この計算式のまま計算しても、

うちにはあまり意味がないですね。」

と、銀行借入金がある会社の社長から言われたことがあります。

なので、

「それなら、固定費に返済金と金利もプラスしてください。」

と言いました。すると、

「そうですね!そう考えれば、実態と近づきますね。」

とおっしゃいました。

 

そうなのです。

実態と乖離する計算式に、捉われる必要はないのです。

「うちの会社はこれも、固定費みたいなものだ。」

と考える支出である、返済や金利があるのなら、

固定費にプラスして考えればよいのです。

実際に返済や金利の支出があるのに、

それを無視した損益分岐点売上高に一喜一憂しても、

意味がないとまでは言いませんが、役には立ちません。

 

損益分岐点売上高は、経営にとって大切な指標です。

どれだけの売上高があれば、営業利益が黒字になってゆくのか、

がわかるからです。ひとつの目安にはなります。

 

しかし、経営実務においては、

特に資金繰りと併せて考えるほど、なにかしっくりこないのです。

だからなのか、経営の現場では、

あまり使われていない指標のように思えるのです。

「これくらいの売上があれば、返済も含めて回る。」という、

経営者が経験で培ったカンの数字のほうが、しっくりくるのです。

 

ならば、その中身に合わせて、

計算式を変えて考えればいいのです。

 

(古山喜章)

 

2024年10月11日 (金)

折れた宝刀⑤

株式評価という場面で、

税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、

結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、

という事案がありました。

 

もう一つ、裁判所が判断したポイントがありました。

 

国税側は、

「相続が発生したタイミングで、

売買契約が成立していなかったとしても、

近い将来、売買契約が成立し、

売却代金が入ってくる可能性が高い、という場合は、

“株式価値=入金されるであろう金額”

として、評価の目安となってもよいだろう」

 

このように主張していました。

 

ところが裁判所は、

 

「このケースでは、

近い将来に売買契約が成立すること、

また、株式がお金に換金される可能性を

評価額の目安とすることは不適切」と判断し、

 

このケースでは、そもそも、

株式がお金に換金される可能性が高かった、

と認めることはできないと判断されました。

 

さらに、このケースでは、

相続人が、相続税の負担を減らす、

または、免れさせる行為をしたと、

認めることはできなかった、

ともしています。

 

色々な要素がからみあって、

今回の裁判所の判断となりましたが、ニュースを見る限り、

相続人サイドで、「不当に税金を抑えよう」と仕組んだわけではないことは

あきらかなように感じました。

 

今回、伝家の宝刀を抜いた結果、

国税側が負けたことが、

今後どのような影響を及ぼすのか、

何か動きがあれば、このブログでお伝えしていきます。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月10日 (木)

折れた宝刀④

株式評価という場面で、

税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、

結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、

という事案がありました。

 

改めて、この話のポイントですが、

 

・オーナーが生前のうちから、M&Aの話が進められていた

 

・そのさなかに、オーナーが亡くなった

 

・なくなってすぐにM&A契約が成立した

 

・オーナーの相続税を計算するときと、M&Aで売ったときの

 1株あたりの金額が10倍以上の開きがあった

 

・オーナーの家族は、税務署が定めたルールにしたがって、

 株式を評価していた

 

・ただし、国税当局は、「たとえルール通りに評価していたとしても、

 実際は、相続税の申告をしたすぐ後に、10倍以上の価格で

 売却しているから、それは、おかしい」として、否認した

 

ということです。

 

結果的に、この裁判は、納税者(相続人)が勝ったわけですが、

 

この伝家の宝刀を使って国税当局が勝つには、いってみれば、

 

納税者(相続人)側が「税金逃れをしようとしていた」

と認められなければならないのです。

 

その点、裁判所は、そういった事実が“ない”と判断したわけです。

 

そもそも、M&Aの場面においては、

高度な経営判断や、売手買手の交渉の結果で、

株式の売却代金が決定されるということで、

契約で決定した売却代金=絶対的な評価額 

とは限らないと判断しています。

 

要するに、買う相手が変われば、

売買代金も当然変わってくるでしょう、

ということです。

 

そして、もう一つ、裁判所が判断したポイントがありました。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月 9日 (水)

折れた宝刀③

 

株式評価という場面で、

税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、

結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、

という事案がありました。

 

伝家の宝刀 「総則6項」を使って、否認してきたのです。

 

ここで、総則6項についてご説明します。

 

総則6項というのは、

「財産評価基本通達第1章総則6項」の略称です。

 

通達というのは、いってみれば、

国税庁が定めた税務署の内部ルールのようなものです。

 

法律ではありませんが、実務的には、

通達に基づいて判断される、というのが一般的です。

 

相続財産は、基本的には、通達(財産評価基本通達)に基づき評価されます。

そして、それに基づいて相続税の金額が決まります。

 

もちろん、法律ではないので、

絶対的なルールではありませんが、

それでも、実務上は、この通達(内部ルール)を基に、判断されています。

 

そして、この通達の定めによって評価することが

著しく不適当と認められる場合は、

国税庁長官の指示を受けて評価する、とされている規定です。

 

さて、総則6項は、行き過ぎた節税対策に対抗するための規定です。

実務上のルールである通達に反して、

国税庁の判断で評価を決定できてしまいます。

 

通達による評価をされていても、

「けしからん!」と国税庁が判断すれば、

この通達で定めた評価方法を、否認できる、というわけです。

 

この総則6項が持ち出されるときは、

国税サイドが、「勝てる!」と判断した案件であることが多いです。

 

つまり、むやみやたらに、

この総則6項が持ち出されるわけではない、

ただし、これが持ち出されては、われわれ納税者は分が悪い、

ということで、「伝家の宝刀」なのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月 8日 (火)

折れた宝刀②

株式評価という場面で、

税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、

結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、

という事案がありました。

 

M&Aにからむ話でした。

 

時系列は、下記のとおりです。

 

H26年5月末 オーナーが買手企業と、M&Aに関する基本合意を締結

H26年6月中旬 オーナーが死亡

H26年6月下旬 オーナー奥様が代表取締役就任

H26年7月上旬 遺産分割協議を行い、株式は、奥様が相続した。

           その後、奥様は、買手と株式譲渡の契約を締結

H26年7月下旬 奥様は、株式を譲渡

 

奥様が、買手に対して売った価格は、1株105,000円

一方で、奥様が相続税として申告した際の評価は、1株8,000円

 

①売った株価は10万円、

②相続税を払うときの評価は8千円

その差は、13倍です。

 

この差に国税が着目して、

「相続税を申告するときの株価は安い!」

と言ってきた、というわけです。

 

しかし、そもそもの話、

②の株価は、類似業種比準価格といって、

国税が定めたルールにのっとって、

正しく評価されていました。

 

だから、納税者の奥様としても、納得できませんよね。

 

それでも、国税は、「不当に安くしている!」ということで、

伝家の宝刀 「総則6項」を使って、否認してきたのです。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月 7日 (月)

折れた宝刀①

9月末の日経新聞で、

税務訴訟に関する記事が掲載されていました(一部抜粋)。

 

「非上場株の相続を巡り、国税当局が「伝家の宝刀」と呼ばれる

特別な規定を使って課税した事案の税務訴訟で8月、国税側が敗訴した。

 

「本件控訴を棄却する」。

 

東京地裁で1月に下った一審判決に続き、国税当局側の2連敗。

最高裁への上告は断念し、判決が確定した。

 

「伝家の宝刀」とも呼ばれる財産評価基本通達総則6項という

特別規定を使った相続税の課税を巡り、国税側の敗訴確定は初めてとなった。

 

裁判で争われたのは、

東北地方で薬局経営などを手掛ける非上場企業の株式の評価額についてだった。

 

代表取締役の死去後、その子らの相続人は法定の期限内に相続税を申告。

 

相続した株式について、国税当局が通達で定めている通常の算定ルールに

のっとって18186円と評価した。

これに対し国税当局は「評価額が低すぎる」と判断し、総則6項を適用。

専門会社に価格算定を依頼して18373円が妥当だと結論付けた。

 

相続人側が求められた追加の相続税額は約4億円。

相続人側はこの処分を違法だとして2021年に提訴していた。

 

財産評価基本通達は、相続税を算定する際の財産評価の手法を細かく定めている。

非上場企業の株式の場合、その企業の利益や配当、

類似企業の株価をもとに評価するなどとしており、

今回の相続人もこの手法で申告した。

 

一方、基本通達には例外規定として「総則6項」がある。

通常の算定ルールでの評価が「著しく不適当」と認められる場合に、

国税当局が評価をし直すことができると定めている特別規定だ。

 

総則6項の適用は年に数件で、節税策などで相続財産のみかけの価値が

極端に下がっている場合などに使われることが多い。

 

ただ今回は事情がやや異なった。

代表者の男性は生前、同社株を他社に売却しようと検討していた。

みずほ銀行をアドバイザーとして価格も算定。

売却予定価格は総額約63億円(1105068円)だった。

だが正式な契約が成立する前の146月に男性は急逝。

 

妻が交渉を引き継ぎ、約1カ月後に予定価格で売却した。

その後152月に相続税の申告を行ったが、

申告では通常の通達ルールに基づいて株式を評価。

評価額は実際の売却額の12分の1以下だった。

 

国税当局はこの価格差などに注目。

総則6項を適用し、企業が将来生み出すキャッシュフローをもとにして

現在価値を算定する「DCF法」で再評価。18373円という数字をはじき出した。

裁判では、この評価額の引き上げが正当かが焦点になった。

 

株式評価という場面で、

税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、

結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、

という事案です。

 

そもそも、“伝家の宝刀”とは?

また、今回の裁判のポイントは?

 

明日以降でご説明をしていきます。

 

(福岡雄吉郎)

2024年10月 4日 (金)

労務コストを削減せよ⑤

最大の固定費である労務コストが高騰しています。

従業員の賃上げ、法定福利費のアップ、最低賃金アップなど、

コストアップは今後も留まるところがありません。

採用費も上り、定着にもお金がかかります。

現状のまま全てのコストを賄うことなど、

中小企業ではできないのです。

 

⑤機械化、ロボット化、システム化を進める

 

中小企業で進んでいないのは、

機械化、ロボット化、システム化です。

 

毎年この時期に工場を訪問している会社があります。

小型機械の製造・販売をしています。

その工場を訪問すると、

毎年、どこかが変わっていて、驚かされるのです。

まず、レイアウトが変わっています。

去年あったものが同じ場所になく、

機械化やロボット化して場所が変わった、

といったことが必ずあるのです。

 

そのため、長年見ていると、

明らかに人の数が減ってきています。

しかも、そもそもほとんどの作業者が派遣社員です。

派遣社員の人員が、どんどん減ってきているのです。

 

「でも、増えている部署もあります。」

と社長が言いました。

それはどの部署なのかお聞きすると、

工場内を見直す技術開発の部署でした。

その部署で、レイアウトの見直しから、

機械化、ロボット化、動線の見直しなど、

工場内の生産性をどう上げてゆくのか、常に企画されているのです。

 

生産性を上げるための技術開発にはお金をかけ、

現場の労務コストを年々、下げているのです。

機械やロボット、システムは、

初期投資はいるものの、減価償却できます。

来年の3月末までなら、即時償却という優遇税制もあります。

特に工場機能を持つ会社であれば、

人海戦術の要素を減らし、機械化・ロボット化を、

どんどん進めることで、生産性を上げるとともに、

ライバルと比べた場合の優位性を確保してほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月 3日 (木)

労務コストを削減せよ④

最大の固定費である労務コストが高騰しています。

従業員の賃上げ、法定福利費のアップ、最低賃金アップなど、

コストアップは今後も留まるところがありません。

採用費も上り、定着にもお金がかかります。

現状のまま全てのコストを賄うことなど、

中小企業ではできないのです。

 

④正社員から請負契約に変える

 

ある会社の社長が私に言いました。

「先生、うちの会社は社員がゼロになりました。

 今は取締役のみです。」

その会社は、地域に根差した石材屋です。

主に墓石を扱い、

他にも公共の記念碑や石碑などを受注しています。

取締役以外の従業員は、石工職人でした。

経理業務はすべて外注です。

私は聞きました。

「社長の会社は石の職人が8人ほどいたでしょ。

 あの人たちはどうなったんですか?」

社長は言いました。

「退職いただいて、全員、請負契約に切り替えました。

 うちの業務は安定的に仕事があるわけではないので、

 仕事がある時だけ、請負で仕事をお願いする形にしました。

 その代わり、1件当たりの報酬を高めにしています。」

 

気になるのは、そんなにうまく切り替えれるのか、ということです。

「しかし、皆さんよく了解しましたね。反対とかなかったんですか?」

と尋ねると、こういわれました。

「全員、高齢化が進んでいたので、退職金をある程度上乗せします、

 といったらすんなりと受け入れてくれました。

 今は皆さん、他社の仕事も受けながら、がんばっておられます。

 石の職人は少なくなっているので、何かと仕事はあるようなんです。」

 

いかがでしょうか。その会社は、

正社員を請け負い契約に切り替えることで、

労務費が固定費から変動費になったのです。

石材屋そのものが、伸びる事業ではありません。

どちらかというと、斜陽産業です。

かといって、なくならないのです。

小さな需要の中でも生きてゆけるよう、

石職人全員を、請負契約に切り替えたのです。

 

仕事の量に波があるなら、このように請負契約を使うのか、

前回申し上げた派遣人材を活用するのか、

そうすれば、労務費を変動費化できるのです。

労務コストを下げることができるのです。

 

(古山喜章)

2024年10月 2日 (水)

労務コストを削減せよ➂

最大の固定費である労務コストが高騰しています。

従業員の賃上げ、法定福利費のアップ、最低賃金アップなど、

コストアップは今後も留まるところがありません。

採用費も上り、定着にもお金がかかります。

現状のまま全てのコストを賄うことなど、

中小企業ではできないのです。

 

➂正社員を派遣社員に変える

 

管理部門の正社員の8割を、

派遣社員に切り替えた会社がありました。

切り替えに1年半かかりました。

・退職した正社員の穴埋めを派遣社員にする

・正社員が退職した他部署に異動してもらい、派遣社員にする。

・本人の希望を受けて、契約を派遣に借り換える。

いくつかのパターンで対応しながら、

時間をかけて切り替えたのです。

 

少しでも労務コストを減らしたい、ということと、

マサカの坂がきた時に、

労務コストを変動費化できるようにしておきたい、

とのことから、正社員を派遣社員に切り替えていったのです。

 

その切り替えが完了した1年後に、

その地域に大震災がやってきました。

派遣の方々には一時出勤を停止していただき、

その分の賃金は発生しませんでした。

派遣社員の人たちは、派遣元から別の職場へと派遣されたのです。

 

そして業務が平穏に戻る段階で、

またじわじわと以前の派遣の方々に戻ってきてもらったのです。

その会社の社長は言いました。

「労務費を変動費化していたおかげで、

 最小限の労務コストでマサカの坂を乗り切れました。

 ありがとうございました。」

 

その会社はその後、事務作業のデジタル化も進め、

必要な派遣人材を減らしました。

このようなことも、正社員のような、

期限のない契約ではできないのです。

 

正社員にこだわらず、派遣社員を活用することで、

労務コストは固定費から変動費化させることができるのです。

全社員でなくても、特定部門の社員でも、効果があるのです。

コストが高くつく正社員をどうにかして減らせないか、

常に考えておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年10月 1日 (火)

労務コストを削減せよ②

最大の固定費である労務コストが高騰しています。

従業員の賃上げ、法定福利費のアップ、最低賃金アップなど、

コストアップは今後も留まるところがありません。

採用費も上り、定着にもお金がかかります。

現状のまま全てのコストを賄うことなど、

中小企業ではできないのです。

 

②会社を分けて法定福利費を下げる

 

2024年10月1日以降、

パート・アルバイトの社会保険への加入範囲が拡大されました。

その拡大条件に当てはまるかどうかは、

その会社の従業員数で決まります。

この従業員というのは、厚生年金加入者の人数です。

 

2022年に、501人から101人以上が適用となり、

2024年10月1日からは、51人以上が適用となりました。

適用となるパート・アルバイトは、

次の4つ全てに該当する人です。

①1週間で20時間以上の勤務をしている

②月額賃金が88000円以上

➂2ケ月を越える雇用の見込みがある

④学生ではない

 

今のところ、

厚生年金の加入者が50人以下であれば、

このルールには当てはまりません。

 

なので、昨年にいち早く会社をふたつにわけて、

2社とも50人以下の会社になるよう対策を打った顧問先があります。

その会社の事業は労働集約型の多店舗経営です。

パート・アルバイトが多く、

そのままでは、この10月から社会保険対象者が増える、

ということがわかっていたのです。

新たな社会保険対象となる従業員も今さら負担することを懸念し、

会社としても年間の法定福利費が約2000万円、

増えてしまう見込みだったのです。

そこで、本体となる会社が全額出資で別会社を作り、

店舗の半数と、その従業員を別会社に転籍してもらったのです。

 

一旦、50人以下なら社会保険拡大の適用外ではありますが、

この人数をさらに引き下げる、という案もあります。

そのため、いつまで免れるかという課題は確かにあります。

しかし、それがいつからになるかわからない今、

稼いだお金の流出を少しでも減らせれるよう、

できる対策があるならば、手を打ってほしいのです。

 

(古山喜章)

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