損益分岐点売上高をどう見るか➂
損益分岐点売上高は、損も益もない、
収支トントンの状態です。その計算式は、
固定費 ÷ 限界利益率 とされています。
しかし時折、次のようなお声を聞くのです。
「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」
「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」
そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が
ゼロになる売上高を計算しているだけです。
実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。
➂減価償却費は外して考える
設備投資が大きい業種をされている会社の社長が言いました。
「うちは設備投資が大きいので、減価償却費が大きいです。
それに銀行借入の返済もそれなりにあるので、
普通に損益分岐点売上高を計算しても、あまりピンとこないんですよ。」
確かに、普通に損益分岐点売上高を計算して、
営業利益がゼロとなる売上高がわかっても、
減価償却費が大きければ、その分、キャッシュは残ります。
一方、借入返済は計算式に加味されていない、お金の支出です。
金利の支出もあります。
ピンとこないという気持も、よくわかります。
会社のお金の動きを把握しているほど、
普通の損益分岐点売上高の計算式では、しっくりこないのです。
なのでその社長は、
(固定費+返済金+金利 ― 減価償却費)÷ 限界利益率
の計算式で、
自社の損益分岐点売上高を算出することになったのです。
返済金や金利は支出なので固定費にプラスし、
減価償却費は支出のない経費なので、
固定費からマイナスしたのです。
「これでようやく、
納得できる数字が計算できるようになりました!」
と、その社長は喜んでおられたのです。
通常の固定費となるのは、販売管理費です。
しかし、それが支出の全てではありません。
毎月発生する返済や金利があれば、それも固定費です。
一方、減価償却費はお金の支出なき経費なので、
固定費から外して考えないとおかしくなります。
普通に損益分岐点売上高を計算して、
しっくりこないというのなら、
お金の動きの実態に合わせて、
計算式を少し改良したほうがいいのです。
(古山喜章)
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