折れた宝刀②
株式評価という場面で、
税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、
結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、
という事案がありました。
M&Aにからむ話でした。
時系列は、下記のとおりです。
H26年5月末 オーナーが買手企業と、M&Aに関する基本合意を締結
↓
H26年6月中旬 オーナーが死亡
↓
H26年6月下旬 オーナー奥様が代表取締役就任
↓
H26年7月上旬 遺産分割協議を行い、株式は、奥様が相続した。
その後、奥様は、買手と株式譲渡の契約を締結
↓
H26年7月下旬 奥様は、株式を譲渡
奥様が、買手に対して売った価格は、1株105,000円
一方で、奥様が相続税として申告した際の評価は、1株8,000円
①売った株価は10万円、
②相続税を払うときの評価は8千円
その差は、13倍です。
この差に国税が着目して、
「相続税を申告するときの株価は安い!」
と言ってきた、というわけです。
しかし、そもそもの話、
②の株価は、類似業種比準価格といって、
国税が定めたルールにのっとって、
正しく評価されていました。
だから、納税者の奥様としても、納得できませんよね。
それでも、国税は、「不当に安くしている!」ということで、
伝家の宝刀 「総則6項」を使って、否認してきたのです。
(福岡雄吉郎)
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