経営トップの健康トラブル対応②
経営トップの高齢化が進んでいます。
高齢化により気になることのひとつが、健康上のリスクです。
健康管理をしているつもりでも、
急に業務執行ができない状態に陥る、ということもあるのです。
困るのは、経営トップ以外の経営陣や親族です。
何かあった時のために、というのであれば、
高齢経営トップのリスク対応こそ、進めておいてほしいのです。
②代表取締役をどうするのか
現役社長が急な病で経営指揮を取れなくなる、
というケースがありました。
その時も、後継者から連絡が入りました。
「代表取締役社長が倒れて、
今後のことをいろいろ決めないといけないのですが、
どうすれいいんでしょうか?」
といった内容の相談を受けました。
取締役の人数を確認すると、社長以外に
専務取締役が1名と、常勤取締役が後継者含め3名いました。
「それなら取り急ぎは専務が意思決定すればいいし、
おそらく定款には、社長に事故等あるときは専務が、
て書かれていると思うので、定款を確認してください。」
と伝えたところ、
「書いてます!」となりました。
ただ、その後継者は言いました。
「倒れた社長は回復の見込みが薄いですし、
今後の代表取締役はどうすればよいでしょうか?」
代表取締役を決めるのは、取締役会です。
現社長が業務執行できないような状況であれば、
先に次の代表取締役を取締役会で決議します。
一時的に二人が代表取締役となる形にしておけばよいのです。
そうしておけば、
現社長に万一のことがあっても、会社の意思決定には支障がありません。
このような場合、専務が代表に就任するのが妥当ではあります。
が、その会社では現社長の次は社長の長男が代表のバトンを継ぐ、
と専務と社長との間で、あらかじめ取り決めがあったのです。
なので専務は、
「自分は専務のままでいいから、あなたが代表取締役になればよい。」
と社長の息子に伝え、その内容で取締役会での決議を得たのです。
この会社の場合、
取締役が複数おり、後継者も含まれていたので、
急な事態でも、事がスムーズに進みました。
これが、取締役はそもそも社長のみ、となると、
株主総会で取締役を選任するところから始めなければなりません。
しかもその株式の過半数を意思決定できなくなった現社長が持っている、
となると、ますますやっかいなことになってゆきます。
経営トップが高齢になり、健康リスクがあるのに、
取締役は自分だけ、株式もほぼ自分だけ、となると、
後継者にとってはもう、リスクの固まりです。
「自分は大丈夫!」という言葉は、単なる過信です。
経営者が60代半ばに差し掛かるまでには、
取締役の体制を見なおしておいてほしいのです。
(古山喜章)
« 経営トップの健康トラブル対応① | トップページ | 経営トップの健康トラブル対応➂ »
「相続対策」カテゴリの記事
- 経営トップの健康トラブル対応⑤(2024.11.01)
- 経営トップの健康トラブル対応④(2024.10.31)
- 経営トップの健康トラブル対応➂(2024.10.30)
- 経営トップの健康トラブル対応②(2024.10.29)
- 経営トップの健康トラブル対応①(2024.10.28)
コメント