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2024年10月16日 (水)

損益分岐点売上高をどう見るか②

損益分岐点売上高は、損も益もない、

収支トントンの状態です。その計算式は、

 固定費 ÷ 限界利益率 とされています。

しかし時折、次のようなお声を聞くのです。

「これで計算しても、その売上高ではお金が足らない」

「キャッシュベースで見たら、ちょっと違うように思います」

そうです。この計算式は、損益計算書の営業利益が

ゼロになる売上高を計算しているだけです。

実際の資金繰りとは、肌感覚が異なるのです。

 

②法人税が入っていない

 

ある経営者が言いました。

「わが社は毎年概ね5千万円程度の法人税を払ってます。

 損益分岐点売上高の計算式には、法人税は加味されていないですよね。」

 

その会社は、無借入金だったので、返済や金利はありませんでした。

しかし、税引き前利益が出ていれば当然、法人税が発生します。

地方税も含めれば最終的に、税引き前利益の約40%と

見たほうが良いでしょう。

その金額が、その会社では約5千万円だったのです。

それも、この数年間は大きな金額差がなく発生していました。

 

そのため、

通常の計算式で損益分岐点売上高を計算しても、

その会社の経営者には、違和感があったのです。

なので、その会社では、

法人税の5千万円も固定費に組み入れて、

損益分岐点売上高を計算するとことにしたのです。

 固定費 ÷ 限界利益率 の固定費に、5千万円も足して、

計算されたのです。

 

「これでようやくすっきりしました。」

と、その経営者は言いました。

その経営者にすれば、

営業利益がゼロとなる損益分岐点売上高がわかるより、

法人税が毎年と同じ5千万円発生して支払うには、

どの程度の売上高が必要なのか、を知りたかったのです。

その会社では今も、

自社の損益分岐点売上高を計算するのに、

法人税の5千万円を加味して計算されているのです。

 

それは、その経営者が資金繰りをチェックしていたから、

そうなったのです。

言い方を変えれば、貸借対照表がわかるから、そうなったのです。

損益計算書のみの考え方では、このような疑問が起こらないのです。

一般的な計算式に捉われることなく、

うちはこれも固定費だな、

というものは、加味して考えればよいのです。

 

(古山喜章)

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