更正処分してもらいました⑨
神戸商事(仮称)は、大阪国税局から、
更正通知を受け取りました。
神戸商事としては、国税局の処分に不服として
まずは、再調査の請求を行うことにしたわけですが、
ここで、資金繰りが問題になりました。
神戸商事には、納税資金がないため、
こちらとしては、銀行団にかけあって、
その分の調達をもくろみます。
最初に、取引銀行10行をとりまとめてくれている
メインバンクに掛け合いました。
当初の返事は、好意的なもので、
「当行がメインバンクなので、納税資金の大部分を面倒見ます。
あとの残りの資金は、メガバンクであるM銀行と、
地方銀行であるN銀行に置いてある預金を使わせてもらいましょう」
簡単にいうと、こんな感じで、話が進んでいました。
「バンクミーティングを開催するので、
現状を説明していただいて、
各行の合意を取り付けましょう。」
ということで、バンクミーティングが開催されました。
10行が一堂に会するミーティングで、
もうかれこれ、6回目になるでしょうか・・・
そこで、問題が発生します。
M銀行とN銀行が、
「自分たちの口座に置いてある預金は、使ってくれるな」
というわけです。
各銀行からすると、
「この預金は、自分たちの貸付金の返済にまわすべき。
リスケジュールをするということで、一時的に回収はストップしたが、
本来は、とっくの昔に、回収しているべきものである。
納税資金で消えてなくなるのは勘弁してくれ」
というわけです。
バンクミーティングは、紛糾します。
その場で、私は、各銀行の担当者に、
「法的に考えて、この預金を使ってはいけないという縛りがあるのか?」
と質問すると、各々の担当者は、黙ってしまいました。
バンクミーティングは一旦、お開きとなりましたが、
各銀行から、再度の反論はなかったため、
「やれやれこれで当初のもくろみ通り進むな~」と思いましたが、
その後、N銀行の審査部から、「やはりNG」との回答が出されました。
すると、メインバンクの態度も少し変化が見られます。
他の銀行の状況を上層部に伝えると、
頭取他、役員の姿勢が変わってしまい、
納税資金の捻出が難しい、となってしまいました。
「筋論からすれば、まさに福岡さんの言う通り。
しかし、いまは、銀行団がまとまらないことには先に進めない。
メインバンクとしては、各銀行の足並みを揃えないとまずい。
だから、一旦、N銀行との激しい交渉は、間をあけてほしい」と懇願されます。
また、バンクミーティングには、
政府系の金融機関も参加しているわけですが、彼らの立場は、親方日の丸です。
そして、今から、神戸商事がやろうとしていることは、
その親方(=国家)と戦おうとしているわけで、
その戦うための金融支援はできない、というわけです。
色々な金融機関の色々な思惑が見えるわけですが、
いずれにせよ、納税資金は調達できませんでした。
となると、困りました。税金が支払えません。
次なる手は・・・・
~つづく~
(福岡雄吉郎)
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