規模の拡大を追うな➂
売上○○○○億を目指す!
店舗数○○○○店舗を目指す!
等など、経営規模の拡大を目指す掛け声を、
多くの場面で見かけます。
しかし、経営の形はさまざまです。
経営は、規模が大きいから良い、というものではありません。
倒れたら元も子もないのです。
➂固定費がどんどん増える
売上規模の拡大を目指すと、何かと増えます。
拠点が増え、人数が増えます。
拠点が増えると、賃貸であっても保証金が要ります。
多拠点展開の会社の貸借対照表を拝見すると、
保証金が妙に大きいことがあります。
保証金を払うとその資金は長期間、寝てしまうことになります。
土地と同じく、保証金には減価償却などないのです。
多拠点展開なのに自前で土地を持つと、もっと大変です。
減価償却はなく、毎年の固定資産税は発生します。
規模拡大のために拠点が増えると、人数が増えます。
労務費や法的福利費が増えるのは当然のことながら、
そのほかの間接費用も増えます。
採用費、研修費、旅費交通費、健康診断、制服、ロッカー、駐車場など、
何かと間接的なコストが増えるのです。
人が増えるとトラブルも増えます。
パワハラ、セクハラをはじめ、不祥事を起こす、
人間関係や金銭のトラブル、メンタルがやられて勤務不能になる、
などなど、人数が増えるほど、人トラブルの種は増えるのです。
やがて、事業拡大に人が付いてゆけず、社員が悲鳴を上げ始めます。
あちらこちらでトラブルの火消しが必要になってきます。
トラブル対応にも、コストがかかるのです。
他にも、規模拡大で拠点が増えると、
移動の交通費が増える、運送費が増える、
保険料が増える、産廃処理などの雑費が増える等、
とかく費用が増えるのです。
貸借対照表で言えば、
口座が増えて現預金が増えてしまう、在庫が増える、
保険積立金が増える、等など、総資産全体が増えてゆきます。
総資産経常利益率も、自己資本比率も、下がるのです。
このような状況で、
多拠点展開する前と同じ程度の利益率を維持するのは、
並大抵の努力ではできないのです。
最近であれば、
イトーヨーカドーでさえ、店舗縮小に追いやられているのです。
家庭では、夫のロマンは妻の不満、というがごとく、
社長のロマンは社員の不満、となることが多いのです。
安易な売上規模拡大だけは、しないでほしいのです。
(古山喜章)
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