経営環境が大きく変わり始めた一年でした⑤
2024年度も、間もなく終わります。早いです。
しかしこの一年は、
これまでにはなかった大きな経営環境の変化が、
いくつもありました。
それを振り返りつつ、
今後の経営に生かしていただければ幸いです。
⑤M&Aによる事業承継が増えてきた
今年は。
中小企業においてもM&Aによる事業承継が増えてきた、
と実感することがいくつもありました。
「子供はおらず、社内にも適切な承継人材はおりません。」
「子供はいるが、経営を受け継ぐようなタイプではありません。」
「子供はいるが、みんな継ぎたくないと言っています。」
等となり、打つ手はM&Aとなります。
10年ほど前だと、M&Aで会社を売る、となると、
売る経営者にすれば従業員を見捨てるようで、
なんだか後ろめたいものがありました。
しかし今はM&Aの事例も増え、事業承継の選択肢として、
広く認められるようになった、と感じています。
私たちICOの顧問先でも、
後継者がいない小さな会社を買う、あるいは、
後継者がおらず株式を譲渡する、といったことがありました。
買う案件もあれば、売る案件もあったのです。
特に売る案件は、その経営者にすれば最初で最後です。
売る側の社長が、M&A成立後に、
全従業員を集めてその報告をする場にも、
立ち合わせていただきました。
自ら離れることとなる会社への思い、従業員への思い、
株を買って引き継ぐ会社への思いなど、
力を込めて最後の挨拶をされました。
全従業員がその場で初めて、経営者が変わることを知ったのです。
その直後、数人の従業員に感想を聞いてみました。
「びっくりしましたけど、ちょっとほっとしています。」
「後継者がいないのはわかっていたので、気になっていました。」
といった声ばかりで、不安を感じている、
といった声は全くありませんでした。
特にその案件は、買う側が上場会社でしたので、
従業員にとっても安心できる承継先だったのだと思われます。
買う側になるのであれば、やはり必要なのは資金力です。
財務体質さえ盤石であれば、会社を買って、
事業拡大や収益向上を見込むことができます。
小規模のM&A案件は、今後ますます増えてくると思われるのです。
経営環境が大きく変わるなか、
M&Aを活用した事業戦略も、視野においてほしいのです。
本年も「ICO経営道場」をお読みいただき、
ありがとうございました。
新年度は、
1月6日より通常の記事を掲載させていただきます。
みなさま良いお年をお迎えください。
(古山喜章)
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