株式の相続対策を進めておきなさい⑤
私たちへの相談案件で、
特に多い内容のひとつが、株式の相続対策です。
どの中小企業もそうですが、
現社長が本業に夢中になるあまり、ほぼ対策が進んでいない、
という会社が多いのです。
仮に現社長が70歳代後半になって何も進んでいない、
となると大変なのです。
早期に対策に着手しなければ、
後継者の経済的負担が大きくなるばかりなのです。
⑤取得条項を使えば株式が分散することはありません
ある顧問先で、先代社長の娘二人が会社を継ぎました。
姉が営業部長、妹が社長です。株式数は姉が55%、妹が45%。
但し、姉は一部、議決権の無い株式なので、
議決権は姉が35%、妹の社長が65%です。
そして姉妹の二人とも、夫も子供もいます。
いずれの夫も、社業とは別のお仕事をされています。
そのため、先代社長としては、
“わが娘に事故でもあったら、その株式は夫のものになるのか。”
という不安がありました。
そこで活用したのが、種類株式のなかのひとつである、
“取得条項付き株式”です。
これは、相続やその他のことで、
株式が手に渡ってほしくないところへと行かなくするための、
分散防止の種類株式です。
会社が定める取得条項にあてはまることが発生すると、
その株式は、有無を言わさず会社が買い取ることとなります。
買取価格も、相続税法上の価格と定めておけば、もめることもありません。
なので、娘二人の株式の全てを、取得条項付きの株式にしたのです。
姉が持つ議決権の無い株式にも、取得条項を付けました。
会社が定める取得条項の内容は、定款に記載します。
・取締役が死亡したとき。
・取締役を退任したとき。
・該当する株式を他人に譲渡したとき。
等など、考えられることをすべて書きます。
取得条項を記載しておけば、株主に万一のことがあっても、
相続人には株式を買い取るお金が渡ることがあっても、
株式そのものが相続人のものになることはありません。
この例だけでなく、株式を持たせたいものの、
万が一のことがあった場合、その株式が相続人のものになると困る。
という事があるのなら、取得条項を活用すればよいのです。
たとえば、
娘婿に株式を持たせたいが離婚した時のことを懸念する場合、
娘に株式を持たせたいがその夫には持たせたくない場合、
わが子の一人に持たせたいが経営に関与していない場合、
等など、活用できる場面はいくつもあります。
種類株式は会社法にもとづく手法です。
そのため、税理士に聞いてもよくわかりません。
会社法に強い弁護士や司法書士に内容を確認し、進めてほしいのです。
もちろん、私たちも対応しております。
(古山喜章)
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