銀行から融資を受けるときの金利は、
決算書をもとに銀行が査定する格付け(スコアリング)
で決まります。
支店長とのおつきあいや、
普段から借りていれば金利が優遇されるなど、
一切ありません。
すべては決算書の数字次第なのです。
⑤メガバンクが格付け(スコアリング)を理由に融資を断わってきた
ある会社で、高額退職金を支給することになりました。
退職するのは、創業者である会長です。
手元資金では高額退職金の原資が足りないので、
4億円を銀行から借りることにしました。
退職金の支給するのは、その会社の年度末です。
高額退職金の支給で、会社は大赤字が発生します。
大赤字が出れば株価が下がります。
その下がった株価で、後継者が先代から株式を買い取ります。
一方、会長は退職金を受け取った後、次年度に入って間もなく、
一部を会社へ4億円を貸しつけます。
そのお金で借りた4億円を銀行へ返す、という流れです。
取引の銀行2行に、4億円を借りる交渉をしました。
メガバンクと、地方銀行です。
大きな地方銀行ではなく、いわゆる第二地銀と呼ばれる、
規模がやや小さな地方銀行です。
結果的に、地方銀行から借りました。
メガバンクは、ギリギリのタイミングで断ってきたのです。
支店長が話すその理由は、こうでした。
「御社は現在、トップクラスの格付けなので、
4億円の融資はすぐに承認できます。
しかし、会長への退職金支給で大赤字になれば、
今期決算での格付けが一時的に下がります。
一時的とはいえ、格付けが下がるとなると、
その後、会長から資金提供を受けるとはいえ、
その事情を説明するなど、本部での審査に時間がかかります。
今からだとご希望の時期での融資が間に合わないかもしれません。
今回は申し訳ないが、融資を辞退させていただきます。」
体のいい、お断りです。
交渉をしていた社長からすれば、
「おたくのレスポンスが遅いからギリギリになっただけで、
今からだと間に合わないかもしれないは、ないでしょう!」
と怒り心頭です。
メガバンクからすれば、4億円など微々たる融資です。
それなのに、本部にいちいち事情を説明するなど、
面倒くさい、と最終的に判断されたのだと思われます。
実際に、一時的には理屈上、
メガバンクでの格付け(スコアリング)が下がるのかもしれません。
とはいえ、面倒くさい融資を断わる理由に、
格付け(スコアリング)を使われた、としか思えないのです。
一方、融資をしてくれた地方銀行は、
「うちは全然問題ありません。
新年度になって、すぐに返済していただいても構いません。
一時的に格付けが落ちるとか、うちでは問題になりません。
ぜひ、うちで全額融資させてください。」
とのことだったのです。
その会社の年商は、8億円前後です。
事業規模からすれば、メガバンクは大きすぎたのです。
お金を借りる銀行は、事業規模に見合う銀行を選べばよいのです。
メガバンクだからよい、ということは全くないのです。
それでも、交渉の競争相手にはなったので、
地方銀行の金利を抑えることには役立ったのです。
落としどころを踏まえつつ、
メガバンクをうまく活用すればよいのです。
(古山喜章)
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