少人数私募債を上手に使いなさい①
中小企業の資金調達は、銀行借入だけではありません。
「少人数私募債」という方法もあるのです。
会社が発行する、社債の一種です。
経営者や身内の者がその社債を引き受け、会社にお金を貸すのです。
少人数(49人以下)を対象に発行するので、
「少人数私募債」と言われています。
①取締役会の承認だけで発行できます。
「少人数私募債を発行しなさい。」「社債の一種です。」
と申し上げると、
「手続とかたいへんじゃないですか?」
といった質問をいただきます。
しかし、手続きは社内のみで完結します。
どこか外部機関への申請や届け出など、一切不要なのです。
そもそも、
少人数私募債を発行することを決める手順が簡単です。
臨時取締役会を開いて発行を承認し、議事録を残すだけです。
議案は「少人数私募債発行の件」で十分です。
議案の内容も細かく記載する必要はありません。
『議長は、少人数私募債の発行について詳細に説明し、
出席株主が慎重審議した結果、
出席株主全員の一致をもってこれを承認した。』
といった文書で良いのです
実際には、取締役会の開催などせず、
議事録を残しているだけ、でもいいのです。
「取締役会がない会社の場合は、どうすればいいでしょうか?」
と聞かれることがあります。
取締役会を設置しない、と定款に定めている会社には、
取締役はいるものの、取締役会はないのです。
その場合は、株主総会での決議になります。
「有限会社の場合はどうなりますか?」
といった質問もあります。
有限会社も、新会社法が施行された時点で、
株式会社と同じ扱いになっています。
なので、株式会社と同じ手順で
少人数私募債を発行できるのです。
医療法人、社団法人、社会福祉法人は、
少人数私募債を発行できません。
その場合は、株式会社となっている別会社を、
うまく活用すればよいのです。
「少人数私募債」は、中小企業にとって、
銀行以外の有効な資金調達手段です。
にも関わらず、税理士はもちろんのこと、
銀行員でさえもほとんど知りません。
改めて、「少人数私募債」について、
書いてゆきたいと思います。
(古山喜章)
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