少人数私募債を上手に使いなさい②
中小企業の資金調達は、銀行借入だけではありません。
「少人数私募債」という方法もあるのです。
会社が発行する、社債の一種です。
経営者や身内の者がその社債を引き受け、会社にお金を貸すのです。
少人数(49人以下)を対象に発行するので、
「少人数私募債」と言われています。
②銀行の評価では自己資本とみなされます
「少人数私募債は貸借対照表のどこに入りますか?」
と質問を受けることがあります。
少人数私募債は、貸借対照表で言えば負債のなかの、
固定負債に入ります。
長期借入金など、1年以上にわたって返済してゆく負債が、
固定負債です。
要は、少人数私募債も借入金の一種なのです。
しかし、その貸し手となってお金を出しているのは、
経営者自身であったり、同族の別会社であったりします。
つまり、身内からの借入金です。
身内からの借入金なので、
仮に経営危機に陥った場合、その返済はあとまわしです。
仕入先への支払い、従業員への給与、銀行借入の返済、
などが優先されてゆきます。
少人数私募債は、
返済の優先順位がもっとも低い借入金です。
金融用語で言えば、「劣後債」です。
資本金と同じようなものなので、
「資本性借入金」とも言われます。
そのため、
銀行は少人数私募債を「自己資本と同じ」とみなします。
純資産と少人数私募債を合算した金額から、
自己資本比率を算出するのです。
但しそのためには、決算書に明確に、
「経営者引受け少人数私募債」
と記載しておく必要があります。
単に「長期借入金」と記載しただけでは、
銀行で決算書をもとにデータ入力する審査部の人には、
「少人数私募債」とわからないからです。
少人数私募債は、返済の優先順位が低い代わりに、
毎月の返済がない、というメリットがあります。
発行時に、一括返済となる償還期間を定めます。
5年後とか7年後に、まとめて返す形になります。
「いっぺんに全部返すなんて、7年後でもできるかどうか…」
という不安があります。
しかし、7年後にムリであるなら、
第2回少人数私募債を発行し、
1回目の金額をそのまま更新すればよいのです。
基本的な考え方としては、
返せるときには一部でも返済しておく、ということです。
環境的にムリそうなら、返済せずに、
そのまま更新してゆけばよいのです。
お金の貸し手が亡くなれば、相続財産となるのです。
銀行が発行する社債は、自己資本になりません。
単なる借入金です。
せっかくなら、自己資本と評価される、
少人数私募債を活用してほしいのです。
(古山喜章)
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