M&Aで事業承継する前に整えてほしいこと②
後継者の不在により、
事業を継続させるにはM&Aを活用することが最適策である、
というケースが実際に、増えてきています。
私たちICOでもM&Aの仲介業務をさせていただく、
という事例がいくつも出てきております。
とはいえ、M&Aで事業承継するにしても、
今の財務体質のままでは、買い手がつきづらい、
ということが見受けられるのです。
②不良在庫、不良売掛金を整理しておきなさい
M&Aを進めてゆくうえで、
双方の基本合意が締結されたあと、
買う側が売る側の資産内容を精査します。
デューデリジェンス(通称デューデリ)と言います。
貸借対照表には、その会社の財産が記載されています。
それらの内容が、本当にその金額のとおりにあるのか、
といったことなどを、税理士が精査してゆきます。
その時に、まったく売れていない在庫や、
回収見込みのなさそうな売掛金が存在すると、
資産の総額から減額することになります。
その分、M&Aの譲渡価格は下がります。
それだけではありません。
そのようなことが発覚すると、
“他にも何かあるのではないだろうか。”
と、買う側は疑念を抱き始めます。
M&Aはある意味、会社同士のお見合いのようなものです。
そのお見合い相手に不信感を持つようになると、
うまく進まない可能性がどんどん高まります。
とりわけ、売る側のオーナーが、
自分の会社の貸借対照表の内容をよく把握していない場合に、
このような事態に陥りやすいです。
自分では、自社の財務内容には何も問題はない、
と思い込んでいるのです。
それでいて、内容を精査してゆくと、
動いていない在庫や、回収見込みのない売掛金が発覚してくるのです。
買い手の信頼を損ねてしまうのです。
「あの社長は知っていて、だまっていたのではないだろうか?」
といった印象を、買い手側は持ってしまうのです。
不良の在庫があれば、棚卸資産除却損として処分し、
棚卸資産の明細に残らぬようにしておく。
回収見込みのない売掛金があるのなら、
その売掛債権を子会社へ安く売ってでも処分し、
売掛金明細に残らぬようにしておく。
ということを、事前に行っておいてほしいのです。
在庫や売掛金は、流動資産です。
短期間で使えるお金に変わってゆく資産です。
なのに、流動資産の中に、
お金に変わる見込みのない資産があると、
譲渡価格の減額のみならず、不調に終わることさえあるのです。
(古山喜章)
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