銀行交渉 死語の世界⑤
顧問先での銀行交渉の話しを聞いていると、
「いまだにそんなこと言うの?」
という場面に出会うのです。とはいえ、
こちらが無知であれば、死語の世界ともいえる
銀行用語の言いなりになってしまうのです。
⑤中小企業にシンジケートローンは要らない
シンジケートローンというのは、
ある銀行が主幹事となって他の銀行のとりまとめを行い、
複数の銀行でひとつの会社にお金を貸す仕組みです。
投資の金額が大きいときなどに、運用されます。
しかし、その多くは本来、
ひとつの事業が数百億円や数千億円単位のものです。
例えば、どこかの国で大規模なインフラを整えるのに、
日本の企業が投資をする、などといった場合です。
金額があまりに大きいので、シンジケートローンを組んで、
複数銀行でその事業に融資をするのです。
銀行にとっては、金額面でのリスクを分散するメリットがあります。
なのに、中小企業で銀行から
「シンジケートローンでいかがでしょうか?」
と提案を受ける場合があります。
融資総額が5億円~10億円程度の額です。
本来のシンジケートローンを組む場合の金額からすれば、
あまりにも小粒です。
この場合、銀行にとってはちょっと意味合いが違います。
“この会社にうちの銀行だけで5億円~10億円の融資をするには、
ちょっとリスクが高いな。
他の銀行を巻き込んでうちの融資額を減らしたほうが安心だな。”
と思われているのです。
加えて、他行との取りまとめを役をすることで、
主幹事となる銀行は多額の手数料も同時に稼げるからです。
しかし、ここが中小企業の経営者の悲しい所です。
“シンジケートローン”などという横文字で提案されると、
「なるほど!それでお願いします!」
と、よく意味を理解せずに了承してしまうのです。
で、あとで多額の手数料に驚愕してしまうのです。
中小企業にとって、シンジケートローンなど必要ありません。
仮に大きな設備投資で複数の銀行から資金調達をするにしても、
社長や財務担当が銀行交渉の智恵を身に着け、自ら交渉すればよいだけです。
そのほうが絶対に有利な条件を各銀行から獲得できます。
銀行任せにして、良い条件になることなど、ありえないのです。
(古山喜章)
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