取得条項を活用しなさい⑤
経営に関するトラブルで多いのが、株に関するトラブルです。
なかでも、経営に不都合な人物が株を持っている、
というケースのトラブルが多いです。
それはいずれも、普通株式のままになっている、
ということがトラブルの要因です。
そうならないために使えるのが、
「取得条項付き株式」という種類株式なのです。
⑤譲渡承認は役に立ちません
「取得条項付き種類株式」のことを話すと、
「うちの株を売るには取締役会の“譲渡承認”が必要なので、
取得条項なんてなくても、どこにも売れませんよ。」
とおっしゃる方がいます。それは大きな間違いです。
どこの会社の定款にも確かに、
「株式の譲渡承認」という条文があります。
株式を譲渡するには取締役会の承認を得ること、となっています。
しかしこの条文は、
“売ってはいけない”という条文ではありません。
売ることはできるのです。
売ったあとに、その元株主から
「私が持っていた御社の株式を○○さんに売ったので、
承認してください。」
と言ってきても、OKなのです。
会社は、その売り先がいやなら、
・会社が買い取る。
・他の売り先を指定する。
のいずれかの返事を2週間以内にする必要があります。
回答が遅れると、承認したものとされます。
株主には、株式売買自由の原則、というものがあります。
その売買そのものをやめさせる、ということは、
取締役会や株主総会では、できないのです。
譲渡承認の条文は、売買に関する手順を定めているだけなのです。
株式を売買や相続できなくするのが、
「取得条項付き種類株式」なのです。
この株式を持つ株主であるということは、
他に売買できなかったり、相続できない株式である、
と理解している、ということになるのです。
売ったあとに申し入れてきても、売買が無効となり、
会社が買い戻すこととなります。
ここ数年、
「少数株主の株式を会社に高く買い取らせますよ。」
という、一部弁護士の新たな商売が目につくようになりました。
まさに譲渡承認の盲点を突いたビジネスです。しかし、
「取得条項付き種類株式」であれば、このようなことも防御できるのです。
“取締役会の譲渡承認が必要だから大丈夫”という認識を、
正しておいてほしいのです。
(古山喜章)
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