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財務・会計・キャッシュフロー

2024年9月17日 (火)

補助金・助成金・税優遇を活用しなさい①

大企業に比べると、

中小企業は様々な面で優遇されています。

補助金、助成金、税優遇などです。

ところがこれらの優遇措置が使えるのに、

使っている会社とそうでない会社があるのです。

どうせなら、使えるものは使ってほしいのです。

 

①省力化投資補助金

 

「省力化投資補助金」をご存知でしょうか。

中小企業の生産性向上を促進するため、

この8月から公募が始まりました。

生産性向上というと、

製造業で使う設備への補助、という印象が強くなりがちです。

が、今回の補助金はどちらかというと、

飲食業、小売業、サービス業が使う機器を中心としています。

ダウンロード - e79c81e58a9be58c96e68a95e8b387e8a39ce58aa9e98791.pdf

添付ファイル2ページ目の右上に、

「補助対象製品カテゴリ」が記載されています。

清掃ロボット、配膳ロボット、自動チェックイン機、

券売機、自動精算機、飲料補充ロボット 等など。

 

各メーカーの登録した機器のリストが公表されています。

そのページはこちらです。

各業種やカテゴリにおいて、

メーカー名と機器名称が記載されています。

補助を受けたい導入企業は、

そのリストから機器を選んで導入し、

販売事業者の協力を得ながら補助金申請を進めます。

 

面倒と言われる補助金申請も、

販売事業者がサポートしてくれる仕組みです。

機器の導入により、労働生産性が向上する、

という事業計画書の作成と申請が必要になります。

従業員が21名以上の会社の場合、

補助率は購入金額の2分の1で、補助の上限は1000万円です。

 

8月9日から公募が開始となり、

いまのところ、申込の期限が定められておりません。

応募状況によって、

締め切りが明示されるのだと思われます。

 

ちょうど導入しようかと考えていた、

という機器があるかもしれません。

どのような機器があるのか、気になる方はぜひ、

機器リストを見ていただきたいのです。

 

(古山喜章)

2024年9月 9日 (月)

倒産防止共済の駆け込み解約&再加入が進んでいます

8月19日のブログで、

「倒産防止共済は9月末までに解約&再加入を進めなさい」

と書かせていただきました。

その記事はこちらです。

 

これまで、

解約してすぐに再加入しても、損金計上できていました。

その門が、当局によって閉じられるのです。

2024年10月1日以降、

解約してすぐに再加入しても、すぐには損金計上できないのです。

解約後、2年間の経過後でないと、損金計上できません。

それまでは、資産計上することとなるのです。

 

先月『ICO経営道場』でお知らせした結果、多くの読者から、

「うちもブログを読んですぐに解約&再加入しました!」

「うちは5社あったので全部で4千万円分、解約しました!」

「こんなこと、税理士は全然教えてくれませんでした!」

「解約した800万円は台風被害の修繕に使います!」

などといった、嬉しいお声をすでに多数いただきました。

改めて感謝申し上げます。

 

と同時に、加入して800万円まで到達しているけれど、

まだ解約していない、というのであれば、

今すぐに解約して、すぐに再加入してください。

それも年払いの240万円で。

解約すれば800万円の利益計上になりますが、

9月末までに再加入して年払いにすれば、

240万円は損金計上できることになります。

そうすれば、差引あと560万円分の、利益対策をすればよいのです。

今ならまだ間に合います。

 

ICOでも解約できる倒産防止は解約しました。

手続きを進めれば、10日ほどで解約金が入りました。

そしてすぐに、年払いでの再加入の申込をしました。

倒産防止共済のうまみを最大限に活用する、最後の機会なのです。

「やっておけばよかった!」

などとならぬよう、

倒産防止の解約&再加入を、9月末までにお願いいたします。

 

(古山喜章)

2024年9月 6日 (金)

その固定資産、稼いでいますか⑤

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

⑤長期貸付金

 

決算書を拝見すると、固定資産のなかに、

「長期貸付金」の記載を見かけることがあります。

内容を確認すると、

“社長への貸付金です。”という場合があります。

しかも、「貸付金」なのに、

5年前から残高が変わっていない、あるいは、

残高がじわじわ増えていたり、するのです。

まったく返済が進んでいないのです。

 

この場合、金融庁の指導マニュアルからみれば、

早期返済の見込みがない貸付金とみなしなさい、

となります。

で、そのような貸付金は自己資本から減額しなさい、

となるのです。

「短期貸付金」「経営者貸付金」などで記載されている場合も、

銀行の見かたは同じです。

 

金融庁が銀行に対して発行する、

「金融検査マニュアル」の「別冊(中小企業融資編)」には、

銀行が中小企業に融資をする際の見かた・考えかたが、

細かく書かれています。

(「金融検査マニュアル」は、今も運用されています。)

 

具体的に、最初に挙げられている検証ポイントは、

「代表者等との一体性」をよく見なさい、ということです。

さらにその筆頭には、

「実態的な財務内容を見なさい」となっています。

具体的に記載されているのが、

「経営者への貸付金は自己資本から減額する」

というものです。

逆の事例で言えば、経営者が引き受ける「少人数私募債」は、

出資性が高いとして、資本性借入金とみなされます。

自己資本とみなされるのです。

 

だから、「貸付金」という勘定科目を、

キレイに整理しておいてほしいのです。

本人から返してもらう、役員報酬を減額する、

退職金で相殺する等、方法はいくつかあります。

 

銀行による評価では、貸付金がある分、自己資本が減額されます。

自己資本比率が悪化し、ギアリング比率が悪化し、

長期固定適合比率も悪化します。

これらの経営指標は格付け(スコアリング)の評価項目です。

“銀行交渉をして金利を下げたい!”

“借入の条件を改善したい!”という前に、

自社の固定資産の中身を整理し、磨いておいてほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年9月 5日 (木)

その固定資産、稼いでいますか④

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

④美術品・書画骨董

 

自分の趣味の買い物に多額のお金を使い込む、

という実態も、何度となく見てきました。

よくあるのは、絵画などの美術品やクラシックカー等です。

1点当たりの価格もかなり大きいです。

 

しかも、

1度購入すると、画廊やバイヤーからは、セールスの情報が入ります。

「この品はなかなか出てこないので、

社長に先に連絡させてもらいました。ダメなら他の方に連絡します。」

などと言われると、コレクター魂に火が付きます。

で、さらに買ってしまうのです。

 

多額の借入金を背負っているにも関わらず、

固定資産で多数の美術品やクラシックカーを抱えている、

という会社がありました。

特に自動車は置く場所も必要となり、メンテナンスの費用もかかります。

 

「すぐに売却して借金返済にあてなさい!」

と言いました。すると、こう言うのです。

「いやぁ、いま売るのはもったいない…。」

「こんなときに何を言ってるんですか!

 このまま会社がつぶれたら、結局全部手放すしかないですよ!」

などと言い続けると、ようやく一部を売却し始めました。

 

また別の会社でのことです。

貸借対照表に「美術品」とあり、200万円の簿価でした。

「どんな美術品ですか?」とお聞きしました。

「親戚の叔母が趣味で描いている絵を買ってあげました。」

「その人は有名な画家なのですか?」

「いえ、単に絵が趣味なだけです。」

 

「美術品」というのは、美術年間に掲載されたり、

美術品のオークションで売買されるようなものです。

その社長に言いました。

「それは社長が会社から1000円で買って、売却損を出してください。

 税務調査で聞かれたら、騙されて買わされたとでも言ってください。

 なんでも鑑定団でも、値打ちのないものは1000円が多いでしょ。」

 

会社のお金を公私混同で自分の趣味につぎ込み、

借入金をして財務体質を窮地に追い込んでしまう。

悲しいかな、中小企業には、そのようなことが起こりうるのです。

マサカの坂がいつやってくるかわからないこの時代に、

そんな余裕は本来ありません。

会社で稼いだお金は会社のものです。

そのお金は、会社の稼ぎに繋がる資産に使うべきなのです。

 

(古山喜章)

2024年9月 4日 (水)

その固定資産、稼いでいますか➂

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

➂赤字会社の株式

 

ある会社の貸借対照表を拝見すると、

有価証券が約1億円ありました。

「これ、何の株ですか?」とお聞きしました。

すると、その会社の社長は言いました。

「言いにくいのですが、

あるスタートアップ会社の株式なんです。

7年ほど前に投資しました。ところが全然ダメで…。」

儲け話にのって、本業とは無関係の会社へ投資していたのです。

 

その投資先の決算資料を見せてもらうと、

一度も黒字化しておらず、純資産がマイナスの債務超過です。

集めた出資金もそろそろ底をつきそうな状態でした。

「この会社、今も存在はしているんですか?」

と社長に聞きました。

「存在はしていますが、事業としてはほぼ動いていないみたいです。」

「そうですか。じゃあその株式、売ってしまいましょう。」

「えっ、売れるんですか?うちの別会社へ売ればいいんですよ。」

となり、別会社へ売却することで進めたのです。

 

株式を売却するには、

該当の会社へ株式譲渡承認請求を郵送で送ります。

『保有している御社の普通株式○○株を、下記の者に譲渡しますので、

承認をお願いします』といった内容です。

会社側は、2週間以内に返事をしなければ、承認したこととなります。

 

赤字で事業がほぼ停止した会社なので、承認します、

との返事がきました。これで売却可能となります。

別会社へ株式を譲渡する価格は、1株1円で処理しました。

債務超過が続いている会社で、含み益のある資産もありません。

まともに評価すれば、その株価はむしろマイナスです。

マイナスでは売れないので、1円なのです。

 

1株1円で別会社へ譲渡することで、

ほぼ1億円の売却損が生まれました。総資産も縮みました。

その会社の経常利益はその年度、約2億円でした。

そこに約1億円の売却損を特別損失で計上したのです。

その結果、税引き前利益は1億円です。

課税対象利益を半分にできたのです。

「まさかこんなことができるとは思ってませんでした。」

とは、その社長の言葉です。

 

この事例と同じような株式があるのなら、

会社法に基づく手続きを進めて、別会社へ売却すればいいのです。

ただし、グループ法人税制にかからないよう、

株主構成が同族100%でないかどうか、配慮が必要になります。

個人が買うなら、グループ法人税制は関係ありません。

何事も、対策はあるものです。

放置せずに、しかるべき相手に相談すればよいのです。

 

(古山喜章)

2024年9月 3日 (火)

その固定資産、稼いでいますか②

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

②取引会社の株式

 

中小企業の決算書を拝見すると、

大手取引先の上場株式を保有している、というケースを

今もまあまあ見受けます。

買いたくて買った、ということは少ないです。

ほとんどの場合、事の始まりは優越的地位の濫用です。

大手取引先から、

買わなければいけないよう、何らかの圧力があったのです。

 

上がっている株もあれば、下がっている株もあります。

しかし概ね、そう大して大きな配当にはなっていません。

今、株式相場は上がっているほうです。

処分するなら今です。

 

「これを売ったら取引先から何と言われるか?」

「これがあるから仕事をもらえてます。」

いまだにそんなことを言う経営者がいるのです。

そんなことがあれば、

それこそ下請法のコンプライアンス違反です。

上場会社が最も避けたいことです。

 

それに、もはや政策保有株式や持ち合い株式は、

どんどん上場会社が売却したり買い戻したりしています。

トヨタをはじめ、日本の代表的な会社が

これまででは考えられないくらいの勢いで、

株式の持ち合いを解消しているのです。

海外の投資家から見たら、日本の商習慣であった

政策保有株式など、理解できないのです。

「そんなことに金を使わず、もっと稼ぐことに使え!」

と、海外投資家は言いたいのです。

 

それに、上場株式であっても、

売買がそう活発に動いていない株式だと、売るにも制限があります。

思うように売れないのです。

こまめに売ってゆくしかないのです。

どんどん伸びしろが読める株式ならまだ構いません。

 

しかし、圧力で買わされた株式に、そんないい株式はあまりありません。

それであれば、取引先の株式など売却して、

そのお金で銀行借入を減らす、必要な投資に活用する。

などと有効に使ってほしいのです。

それに、売却損が出れば、節税にもなるのです。

赤字の40%は国が負担してくれるのです。

その考え方で、固定資産の中にある取引先の株式を

見直してほしいのです。

 

(古山喜章)

2024年9月 2日 (月)

その固定資産、稼いでいますか①

含み損のある土地や建物があれば、

「別会社に売却して特別損失を計上しなさい!」

と言い続けています。

固定資産から外すのです。

しかし、外したいのは土地や建物だけではありません。

固定資産は本来、長期にわたって稼いでくれる資産です。

なのに、稼いでいない固定資産もあるのです。

 

①電話加入権

 

稼がない固定資産の代表選手といえば、“電話加入権”です。

今も決算書を拝見すると、

社歴30年以上の会社であれば、7割程度は固定資産に残っています。

 

今や資産価値はありません。

M&Aで資産の査定をするときには、

電話加入権はゼロ円、無価値なのです。

 

電話加入権があるのを見つけたら、

「別会社か社長個人が、1本1000円で買いなさい。」

と言っております。

電話加入権は1本概ね7万円です。

1000円で売れば、加入権1本につき、

6万9000円の固定資産売却損を特別損失で計上できるのです。

 

実務的にはまず、116に電話を入れて、

「電話加入権を譲渡したいのですが、どうすればいいでしょうか?」

と尋ねます。すると、

「承知しました。電話加入権の譲渡承認請求書をお送りしますので、

譲渡する電話番号と譲渡先など記入して、申請してください。」

と言われます。

(電話加入権譲渡承認請求書は、ネット検索すれば、

NTTのホームページからもダウンロードできます。)

 

譲渡承認請求書には、

請求書の送付先と支払方法のチェック記載箇所があります。

いずれも“今まで通り”とすればよいのです。

会社が電話代を滞納して払わない時には、

電話加入権の保有者に請求が来ます。

そんなことはありえないはずです。

 

ここまでが、譲渡することの承認です。

あとは、個人や別会社とで

「電話加入権譲渡契約書」を締結すればよいのです。

決まったフォーマットはありません。簡単な譲渡契約書でいいのです。

どこに提出するものでもありませんから。

譲渡価格は1本1000円で構いません。

もはや無価値なので、

1000円では安すぎる、ということは全くないのです。

 

電話加入権を売却して除却損を出せば、

その金額の約40%は、節税できるのです。

100万円なら40万円、キャッシュが残るのです。

40万円の純利益を出してお金を残すのは大変です。

それが除却損なら、簡単にお金を残すことができるのです。

 

電話加入権のお金がNTTから返還されることはありません。

かといって、どこが買ってくれるものでもありません。

それであれば、別会社か個人が買う、

という形で、稼がない不良資産を移動させればよいのです。

 

(古山喜章)

2024年8月23日 (金)

簿外資産を蓄えなさい⑤

貸借対照表には記載されない資産を、簿外資産と言います。

決算書には記載されない資産なので、

言い方を変えれば、会社の埋蔵金です。

この埋蔵金がいくらかでもあれば、

不測の事態の際に、助かるのです。

 

⑤即時償却も簿外資産です。

 

 ICOでは、

即時償却を活用しなさい!と言い続けています。

設備投資を行った際に、単年度で全額を償却できる優遇税制です。

このブログでも、たびたび書かせていただいております。

私たちICOとすれば、優れた税制なのに、

中小企業では思ったほど活用されていないのが実態で、

こんなにいい手を使わない手はない、と奨めているのです。

 

全額を単年度で償却する、ということは、

全額を一気に損金計上することです。

今ではなくなってしまった、生命保険の全額損金計上と、

考え方は同じなのです。

「全額損金の保険が亡くなって節税策がなくなった!」

と嘆くのであれば、即時償却を活用すればよいのです。

 

例えば、耐用年数7年の設備を購入すれば、

通常の減価償却費は、最初の一年分です。

一年分を損金計上し、残りの金額は、資産計上となります。

貸借対照表に記載され、翌年度からあと6年間、

減価償却費を計上し、資産計上の額が減ってゆきます。

 

これを即時償却すれば、導入した年度に全額を損金計上します。

通常の減価償却よりも、6年分を多く減価償却費として、

先行的に損金計上できるのです。

上乗せ分の減価償却費は特別損失とて計上すれば、

営業利益や経常利益には、影響ありません。

税引き期前利益が減るだけです。

 

先行的に損金計上した減価償却費は、いわば簿外資産です。

貸借対照表には記載されません。

が、例えばM&Aで資産価値を算定する際には、

その簿外資産となった即時償却分を資産として再計算します。

貸借対照表からは消えているけれど、

その資産はあるもの、として計算するのです。

決算書内には持っていないけれど、

持っているものとして、算定されるのです。

 

設備投資を即時償却し、固定資産を簿外資産として持つ。

これも、持たない経営のひとつの形なのです。

 

(古山喜章)

2024年8月22日 (木)

簿外資産を蓄えなさい④

貸借対照表には記載されない資産を、簿外資産と言います。

決算書には記載されない資産なので、

言い方を変えれば、会社の埋蔵金です。

この埋蔵金がいくらかでもあれば、

不測の事態の際に、助かるのです。

 

④ガン保険の『支払い免除』を活用しなさい

 

法人契約で役員を対象者として生命保険に加入します。

その際、ガン保険も加入する、ということがあります。

その対象となる役員が、ガンになると、

会社にはそれなりの保険金が入ります。

ではその金額をそのまま、

ガンになった役員へ見舞金として支給できるか、

というと、これがなかなか、できないのです。

 

見舞金として認められるのは、10万~15万程度です。

税法には明確な金額の記載はなく、

社会通念上の金額、となっています。

不明確ではあるものの、これが100万、数百万の見舞金となると、

目につくと指摘は免れません。

支給はできるものの、役員賞与扱いとなり、損金計上もできません。

あるいは、いったん貸した形にして退職金などで精算するかです。

「じゃあ何のためのガン保険なんですか!」

と言いたくなるのです。

 

ガンにかかった本人が保険金を受け取るようにするには、

ガン保険の法人契約時に、『支払い免除』という項目を

活用すれば可能です。

『支払い免除』というのは、ガンにかかったら、

それ以降の保険料は免除される、というものです。

保険料は払わなくてもよくなり、

保険金だけはその後も受け取れます。

 

なのでまず、会社でガン保険を『支払い免除』で契約します。

掛け捨てであれば、月額1万円も出せば、

それなりの保険金となるガン保険に加入できます。

ガンにかかったら、1回目の保険金は会社に振り込まれます。

その後、会社名義から個人名義へと、名義変更します。

 

ガン保険はほとんど掛け捨てで、解約返戻金はありません。

解約金はゼロ円なので、無償で名義変更できます。

名義変更後は、通院費や治療費など、

保険金で支払われるものは全て、

名義変更した個人で受け取れます。

 

ガン保険の保証はさまざまです。

自分にあった内容で保険設計し、『支払い免除』を付けて契約するのです。

そうしておけば、ガンにかかった場合の補償を、

全額損金計上することができ、簿外資産として備えることができるのです。

まずは、現在法人加入しているガン保険があるのなら、

『支払い免除』になっているかどうか、確認してみてください。

知らず知らずのうちに、そうなっていた、

ということも、まあまああるようですので。

 

(古山喜章)

2024年8月21日 (水)

簿外資産を蓄えなさい➂

貸借対照表には記載されない資産を、簿外資産と言います。

決算書には記載されない資産なので、

言い方を変えれば、会社の埋蔵金です。

この埋蔵金がいくらかでもあれば、

不測の事態の際に、助かるのです。

 

➂生命保険の簿外資産を確認しなさい

 

生命保険で支払う保険料のうち、

損金計上できる金額が簿外資産として積みあがります。

しかし、

現状どれだけの簿外資産が生命保険で積みあがっているのか、

把握できている会社は少ないです。

毎月チェックする必要はありませんが、

半期に一度か一年に一度は、確認しておいてほしいのです。

 

気が付けば、返戻率のピーク時期を過ぎていた、

ということになると、あまりにももったいないのです。

半分損金、半分資産の生命保険であれば、

解約しても、思ったほどの益金計上にはなりません。

解約返戻金から資産計上の金額を差し引いた額が、

利益計上となるからです。

 

しかし、全額損金を活用した生命保険であれば、

解約返戻金が全額、利益計上されることになります。

金額が大きい場合、解約時の利益対策が必要になります。

誰かの退職金とぶつける。

新たな生命保険に加入して、その4割を損金計上する。

広告宣伝や販促費とぶつける。

など、それなりの出口対策が必要になります。

 

あるいは、

原材料高騰や、労務費・光熱費・運搬費などの上昇による、

利益補填として活用するのもよいでしょう。

要は、簿外資産を蓄えて放置するのではなく、

うまく使ってほしいのです。

特に生命保険の簿外資産は、

ピーク時を過ぎると目減りするのです。

そのためにも、

簿外資産の現状認識を、定期的に行ってほしいのです。

 

(古山喜章)

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