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財務・会計・キャッシュフロー

2022年4月 6日 (水)

根抵当を外す⑦

株式会社目黒(仮)のオフバランスをお手伝いすることになりました。

 

メガバンクから、次の2点の連絡が来ました。

①今回のオフバランスの目的が不明確であり、

②他の銀行も根抵当解除に応じない

ため、メガバンクとしても、根抵当解除は応じられない。

 

そこでまず①については、次のように回答しました。

銀行様含め各金融機関様のお力添えもあり、

売上、利益を含めた損益状況は大きく改善しました。

しかしながら会社の財務基盤となる貸借対照表(BS)の改善は想定より進んでおりません。

そのためBS改善が今後の当社の課題と認識しております。

 

資産移転(オフバランス)の主な目的は、以下の3点です

(1)目黒の財務体質を筋肉質にする(資産圧縮によるROA改善等)

  ⇒帝国データなどの点数もあがり、新規取引等で有利にしたい

  ⇒今後の出店等を踏まえて有利な点を出したい。

 

(2)会計の流れとして、時価会計が主流になっており、

  目黒のB/Sも時価会計に沿った形にしたい

 

(3)ホールディングス体制の構築

今回、目黒の不動産売却先を、目黒グループの資産管理会社としたい

 

 税務対策というのは、一言も伝えません。

 あくまで財務体質の改善というのがメインテーマです。

 

続いて②ですが、これが一番の難関だったのです。

 

(つづく)

(福岡雄吉郎)

2022年3月25日 (金)

根抵当を外す④

株式会社目黒(仮)のオフバランスをお手伝いすることになりました。

今回、売却対象としている土地には、

メガバンクが1番抵当を設定しています。

 

2番抵当を設定している地方銀行は、

担保を外すことに特に難色を示していませんでした。

 

メガバンクに根抵当権を外す交渉をしたところ、

 

「外そうと思えば外せるけど、

借りたものは返すのがスジだよねってことなんですよ。

他社がどうやっているか知らないけど、

うちとしては、はいそうですか、というわけにはいかないんですよねぇ。

しかも、今回は、不動産を売却して資金化するっていうスキームのなかで、

根抵当を外せっていうわけですよね?

だったら、なおのこと、借りたものは返すのがスジでしょう、ってことなんですよ。」

 

ちょっと威圧的な言い方です。

目黒社長に言わすと、このメガバンクは、

ずーっと、上から目線だそうです。

 

それこそ、以前は、もっと厳しい物言いでした。

 

メガバンクには、借入残高が4000万円ほど、

シンジケートローンに参加している他行からの借入残高は、合計6億円ほど、

シンジケートローンというのは、「プロラタ返済」といって、

シンジケートローンに参加している銀行に対して、

均等に借入返済を行ってゆくのです。

 

どこか特定の一行にだけ、まとめて返済することはできません。

今回の土地売却で、目黒(仮称)が手に入れる売却代金は、

5000万円ほどです。

 

つまり、根抵当解除をしてもらって、土地売却を行い、

仮にその売却代金をメガバンクに返済しようとしても、

他の銀行にも、返済をしなければいけないため、

このメガバンクからの借入金をゼロにすることはできないのです。

 

それゆえ、メガバンクの担当者からは

「根抵当解除は認められない」と言われたのです。

 

ここから、2カ月間、根抵当解除をめぐる交渉が本格化したのです。

(つづく)

(福岡雄吉郎)

2022年3月24日 (木)

根抵当を外す③

株式会社目黒(仮)のオフバランスをお手伝いすることになりました。

 この目黒という会社ですが、実は、シンジケートローンが組まれています。

 

オフバランスの実行にあたって、

根抵当権を解除すべく、

早速銀行と交渉スタートです。

 

まずは、シンジケートローンの

アレンジャー(中心的な存在)の地方銀行に、

話をもっていきました。

 

「今回、財務体質を改善するために、

不動産を別会社に売却したいと思います。

ついては、この別会社に融資をして頂けませんか?」

と話をします。

 

地方銀行からは、前向きな返事を頂きました。

「ただし、根抵当権が、メガバンクが1番抵当ですので、

根抵当権を解除するなら、メガバンクに外してもらう必要がありますね。

根抵当を解除せずに、別会社へ売却もできますが。」

とのことでした。

 

目黒社長としては、根抵当を外せるものは外したいということで、

メガバンクにこのスキームを話して、解除してもらおうとしました。

 

地方銀行は、すんなりと理解を得られたので、

メガバンクもOKを出してくれるだろう、

と思いきや、これが想定外に苦戦をしたのです。

 

(福岡雄吉郎)

2022年3月23日 (水)

根抵当を外す②

株式会社目黒(仮)のオフバランスを

お手伝いすることになりました。

 

この目黒という会社ですが、

実は、シンジケートローンが組まれています。

 

シンジケートローンというのは、

複数の銀行(目黒の場合は、6つの銀行)がシンジケート団を結成し、

取引条件を完全に同じにして、一つの契約書によって同時期に行う協調融資です。

 

借り手は、個別の金融機関では対応できない多額の資金調達が可能となりますが、

借入利息とは別に、取りまとめを行う中心的な存在である「アレンジャー」や、

借入期間中の事務代行を行う「エージェント」に手数料を支払う必要があります。

 

シンジケートローンが組まれている会社というのは、

一言でいえば、財務体質が弱い会社です。

 

銀行からみれば、危ない会社ですが、

他の銀行と一緒になって融資をすることで、

自分だけが損を被るのを防いでいるのです。

目黒(仮)もまさにそんな状況でした。

 

話を戻して、目黒のBSには、

土地が2億円、鑑定評価をすると、5千万円、

売却損として1.5億円計上することになりますが、

このオフバランスを実行すると、財務体質は確実に良くなります。

 

細かいスキーム(計画)はさておいて、

銀行交渉が難航しました。

 

今回、売却対象とする土地には、

メガバンク(都市銀行)に1番抵当、

地方銀行に2番抵当が設定されていました。

 

先ほどのシンジケートローンによる借入は、

無担保の契約でしたが、

メガバンクと地方銀行とは、古くからお付き合いがあり、

過去に、シンジケートローンとは別の借入をしていたときに、

根抵当権を設定していたのです。

 

オフバランスの実行にあたっては、

この根抵当権を解除しようと考えて、

早速に銀行に交渉にいったのでした。

 

(福岡雄吉郎)

2022年3月22日 (火)

根抵当を外す①

お付き合いしている会社で、

株式会社目黒(仮)といいう会社があります。

業種は、サービス業です。

 

この目黒という会社ですが、

いまから10年ほど前に、潰れそうになりました。

東日本大震災の間接的な影響で、業績は急激に悪化、

債務超過に陥るレベルになりました。

 

銀行は、メガバンクが創業時からのお付き合いでしたが、

それに加えて、複数の地方銀行、商工中金からも借入を行っており、

明らかな借入過多で、その当時、目黒社長は、

夜も眠られなかったといいます。

 

ある銀行から呼び出されることは日常茶飯事で、

当時は、相当厳しい言葉、腹の立つ言葉も、

銀行員から投げかけられたといいます。

 

目黒社長自身の給料も、月に10万円ほどに押さえて、

夫婦一緒に乗り越えようとしてきました。

 

震災後、目黒は超低空飛行でしたが、

何とか持ちこたえさせることができました。

苦節期のあとには、花が咲き、

直近3年以上は、業績も完全に回復し、

経常利益で1億円以上を出せるまでになりました。

 

目黒社長の相談はここからです。

「当社は、まだまだ病み上がりで、

できるだけ、会社にお金を残したいんです。

 

先生の本を読んで、オフバランスをやってみたいと思っています。

実は、本社の土地は、弊社が持っていますが、

簿価2億円あるものの、実際はそんなにありません。

半分もないんじゃないかな。

オフバランスを通じて、財務対策をしたいんです。」

 

こうして、目黒のオフバランスはスタートしました。

 

(岡雄吉郎)

2022年3月18日 (金)

なぜ、本業以外にお金を使うのか⑤

お金を使うのなら本業に使いなさい、

と言い続けております。

しかしながら、決算書を拝見すると、

貸付金や出資金などが異様に大きい金額になっている、

ということがあるのです。

 

⑤趣味の世界への使い込み

 

自分の趣味の買い物に多額のお金を使い込む、

という実態も、何度となく見てきました。

よくあるのは、絵画などの美術品やクラシックカーです。

1点当たりの価格もかなり大きいです。

 

しかも、

1度購入すると、バイヤーからは、セールスの情報が入ります。

「この品はなかなか出てこないので、

社長に先に連絡させてもらいました。ダメなら他の方に連絡します。」

などと言われると、コレクター魂に火が付きます。

で、さらに買ってしまうのです。

 

多額の借入金を背負って債務超過であるにも関わらず、

固定資産で多数の美術品とクラシックカーを抱えている、

という会社がありました。

特に自動車は置く場所もいれば、メンテナンスの費用もかかります。

聞けばクラシックの名車が30~40台なのです。

 

「すぐに売却して借金返済にあてなさい!」

と言いました。すると、こう言うのです。

「いやぁ、いま売るのはもったいない…。」

「こんなときに何を言ってるんですか!

 このまま会社がつぶれたら、結局全部手放すしかないですよ!」

などと言い続けると、ようやく一部を売却し始めました。

 

何をいくらで売ったのか、聞きました。

「トヨタ2000GTを4台、2憶数千万円です。」

2000GTは今でも世界中の人気車種で、

1台あたりの販売相場が1.5億円~2億円はします。

そう思えば妥当な価格ですが、社長にすれば、

「買った時より安い。」とそれでも悔しがっていたのです。

 

当り前です。美術品やクラシックカーは、

バイヤーは仕入れ値の3倍近くで売るのです。

それでも、そのことをきっかけに、

絵画も含めて、じわじわと、趣味で買い集めた品を売り、

借入返済にあてていったのです。

 

会社のお金を公私混同で自分の趣味につぎ込み、

借入金をして財務体質を窮地に追い込んでしまう。

悲しいかな、中小企業には、そのようなことが起こりうるのです。

マサカの坂がいつやってくるかわからないこの時代に、

そんな余裕は本来ありません。

会社で稼いだお金は会社のものです。

そのお金は、会社が残ることに使うべきなのです。

 

(古山喜章)

2022年3月17日 (木)

なぜ、本業以外にお金を使うのか④

お金を使うのなら本業に使いなさい、

と言い続けております。

しかしながら、決算書を拝見すると、

貸付金や出資金などが異様に大きい金額になっている、

ということがあるのです。

 

④儲かりそうな上場株

 

経営者は基本、儲け話しが好きです。

そのようなネタも、身近に集まってきます。

しかし、だからといって、

会社の資金を使って儲かりそうな話しにお金を出す、

ということはしないでほしいのです。

 

総資産の約半分が投資有価証券、

という会社がありました。

年商に比べても半分くらいなのです。

その会社は、サービス業です。

固定資産は持たなくてもできる商売です。

なのに、総資産が固定資産で不要に膨張しているのです。

 

「この投資有価証券は何ですか?」

と、オーナーに伺いました。

「これは全部、○○○○社の株です。

 私はその会社から独立して今の会社を興したので、

 恩義がありますから。」

出身上場会社の株式を、銀行から借入金までして、

買い集めていたのです。

 

「恩義があるなら、個人のお金ですればいいじゃないですか。

 会社の財務を悪化させてまで、

 しなくてもいい買い物にお金をつぎ込んで、

 これ、従業員に説明できますか?」

と伝えました。すると、

「いや、それはなんとなくわかってはいるんですけど、

 ずるずると、今に至ってしまいました。」

と、反省はしていたのです。

 

その会社は本業の営業利益率が1%程度と低く、

配当を雑収入として、経常利益率は5%超なのです。

「これでは単なる資産運用会社じゃないですか。」

となり、結局その後、

その会社は資産運用会社として存続させ、

本業の商いは別の会社へ事業を移すことにしたのです。

 

総資産にある資金は、本業をより強くするために、

使うべき財産です。

本業のことは横に置き、無関係な投資や、

個人的な投資をする社長がいるから、

「オーナー会社は好き勝手にやっている」

といった類の非難を、同族会社は浴びるのです。

上場会社なら、則、

忠実義務違反で取締役解任されるようなことを、

独断で平気でやってしまうのです。

 

同族中小企業のオーナーは、

自らを律することを、忘れないでほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年3月16日 (水)

なぜ、本業以外にお金を使うのか③

お金を使うのなら本業に使いなさい、

と言い続けております。

しかしながら、決算書を拝見すると、

貸付金や出資金などが異様に大きい金額になっている、

ということがあるのです。

 

③身内への貸付金

 

同族企業の汚さが表れるのが、身内への貸付金です。

見方によれば、公私混同、横領と同じです。

きっちりと返済が進んでいるなら問題ありません。

が、貸したら貸しっぱなし、

ということを、度々見かけるのです。

 

短期貸付金、仮払金など、

貸借対照表への記載方法は異なりますが、

過去3年の決算書を拝見して、

ほぼ変わらない大きな金額が、それらの勘定科目で存在すると、

“何か良からぬものがあるな”

というのが、すぐにわかるのです。

 

当然、銀行にもわかります。

“この会社の財務管理はずさんだな”

“この会社はお金を貸したら何に使われるかわからない”

などという、烙印を押されるのです。

 

ある会社で、1億数千万円の仮払金がありました。

過去5年間、ほぼ金額が変わっていないのです。

「なんですかこの巨額の仮払金は?」

と若社長に聞くと、

「それ、うちの父親(先代社長)なんです。」

「何に使ったんですか?」

「株式とかの投資ですよ。

結局、どれもうまくゆかずで、今に至ってるんです。」

「顧問の税理士先生はどう言ってるんですか?」

「とりあえず、仮払金にしておきましょう、だけです。」

 

と、税理士が先代社長に仮払い処理を促すこともなく、

その具体策の提案もなく、時間だけが経過していたのです。

先代社長の年齢も、70歳をとうに越えていました。

「ところで先代は退職金をもらったんですか?」

「いえ、まだです。」

となり、結局、先代社長に退職金を約2億円支給することとし、

その金額で仮払金を相殺したのです。

先代社長の手元に残ったのは、相殺後のわずかな退職金です。

「それでも妙な仮払金が決算書から消えてよかったです。」

とは、若社長の弁です。

 

同族企業は、お金の貸し借りがずさんになりがちです。

そんな決算書は、読める人が見れば、一目で不正がわかるのです。

自社の決算書に、怪しい仮払金や貸付金がないか、

改めて確認してほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年3月15日 (火)

なぜ、本業以外にお金を使うのか②

お金を使うのなら本業に使いなさい、

と言い続けております。

しかしながら、決算書を拝見すると、

貸付金や出資金などが異様に大きい金額になっている、

ということがあるのです。

 

②デリバティブ商品

 

自己資本はマイナスで債務超過、

貸借対照表の右側の80%が銀行借入金、

という、財務体質がボロボロの会社がありました。

単純な話し、

この財務状況で銀行がなぜ、お金を貸しているのか、

という状況です。

 

社長にお聞きすると、こう返ってきました。

「実は12年ほど前に、先代の社長が銀行から

 ドル/円のデリバティブ商品を大量に買わされたんです。」

デリバティブ商品とは、先物商品ともいわれます。

変動相場のものを、ある価格で固定して購入し、

相場の変動で利ザヤを得る商品です。

もちろん、相場なので先読みは不確定です。

得することもあれば、損もするのです。

 

「デリバティブって、社長の会社は海外取引なんてないし、

 ドル/円なんて何の関係もないじゃないですか。」

「そうなんです。

 先代社長は銀行におだてられると、言われるがまま、

 借金してまで、本業に関係のない商品を買ってたんです。

 結局、それで10年ほど前に、大損して、

 銀行から損失補填を迫られ、さらに借入金を増やして、

 リスケさせられたんです。それが今も続いているんです。」

とのことだったのです。

 

「本業はどうなんですか?」

「本業は問題なく、この10年以上、ずっと経常利益率5%程度です。」

だから銀行は、回収余力があるとみなし、

新たな借金をさせてまで、リスケジュールを迫ったのです。

長い時間をかければ、回収できると踏んだのです。

 

聞くと、その先代社長の元には、

銀行支店長が毎年、誕生日に大きな花束を持って来社していたとか。

花束をもらった先代社長はご満悦で、

頼まれた商品をどんどん買い付けていたのです。

当然、その恒例行事も、損失補填の段階でなくなりました。

 

そしてリスケの直後、先代社長はお亡くなりになり、

現社長がリスケの残債を引き継いでいたのです。

「あと2年弱でようやくリスケ時の残債から解放されます。」

現社長はしみじみと語っておられたのです。

 

確かに10年ほど前、同様の被害が中小企業で多くありました。

私たちのもとにも、駆け込んでこられた経営者がおられました。

その時は、銀行が損失補填の決済を要求してきても、

ケツをまくって、のらりくらりと先延ばしにしたのです。

で、伸ばしているうちに相場が元に戻り、その時点で解約しました。

なので、新たな借金をすることも、リスケをすることも、

なかったのです。

 

デリバティブ商品で、確実に儲かる商品などありません。

それに、内容が複雑で、売る当人でさえ、

仕組みをよく理解していないのです。

そんな危険な商品に手を出すなど、絶対にしてはいけないのです。

特に、

銀行におだてられるのが好きな経営者が身近にいる会社は、

大いに注意してほしいのです。

 

(古山喜章)

2022年3月14日 (月)

なぜ、本業以外にお金を使うのか①

お金を使うのなら本業に使いなさい、

と言い続けております。

しかしながら、決算書を拝見すると、

貸付金や出資金などが異様に大きい金額になっている、

ということがあるのです。

 

①スタートアップのベンチャー企業

 

出資金がこの数年、どんどん増えている会社がありました。

「何か子会社でも増やしているんですか?」

と社長にお聞きすると、言いにくそうに、

「いやぁ、それは、ベンチャー企業への投資なんですよ…。」

とおっしゃられたのです。

 

「本業に関係のある会社ですか?」

「本業には関係ないですね…。」

と、どんどん歯切れが悪くなってゆきました。

「それにしても、この数年、1億近くずつ程度、

 増えていますよ。どうしてここまで…?」

「本業は順調で、多少の資金的余裕がありましたので…。」

確かに、本業は着実に利益を上げています。

「で、この出資先はどうなんですか?」

「それが、コロナでほぼ全部ダメだと思います。

 まさか、こんなことになるとは思いませんでした…。」

 

“この事業はインバウンド需要がどんどん増えるので、

出資しておけばリターンがかなり大きいですよ。”

という紹介者の言葉に踊らされ、出資をしたのです。

救いは、銀行借入金ではなく、手元資金の範囲だった、

ということくらいです。

 

そうして、こげついた出資金だけが、億単位で残ったのです。

貸借対照表の面積グラフを作成すれば、

妙に目立つ存在となったのです。

加えて、いずれの出資先の会社もこの数年、債務超過でした。

決算書から株価を評価すれば、せいぜい1円です。

相手先の会社へ、株式譲渡承認の請求書を送ると、

いずれも承認してもらえました。

 

結局その出資金は、子会社へ安値で売却し、

本体の会社は売却損を計上したのです。

不良出資金の売却損は、特別損失です。

「利益も出ているので、今がちょうどいいじゃないですか。」

と、社長を説得し、損失処分をしたのです。

損失計上で、その年度の節税にはなったので、

損の40%は、国が負担してくれたようなものです。

 

「顧問税理士はどう言ってたんですか?」と尋ねました。

「このまま様子を見ましょう、と言ってました。」

体のいい、先延ばしです。

税理士先生に聞いても、このような場合、

なんのアドバイスもないのです。

 

そもそも、本業が順調で、手元資金に余裕があるのなら、

そのときにこそ、本業をさらに磨く、伸ばすことに、

お金を使っていただきたいのです。

機械設備、職場環境、システム、商品開発など、

お金を使うテーマは、いくらでもあるはずです。

 

少なくとも、従業員に説明しようのない出資など、

絶対にしないでほしいのです。

 

(古山喜章)

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