過剰からの脱却 ④
中小企業の決算書を拝見していると、
「もっと減らしなさい!」
というものが多くあります。
過剰なのです。
過剰であることが、財務を蝕んでゆくのです。
④人員の過剰
この一年間、コロナの直撃を受けた業界では、
何千人、何万人の規模で希望退職をどんどん募りました。
航空・交通、外食、アパレルなど、
そうしなければ資金繰りが短期間で逼迫する状態でした。
それほど、労務費はインパクトの大きいコストなのです。
需要が蒸発した、という表現をされていましたが、
売上高が一気に落ちる怖さを、本当に思い知らされたのです。
多くの中小企業において、営業利益率はほんの数%です。
売上高が10%も落ちれば、即赤字の状態に陥るのです。
20%、30%も売上高が落ちれば、
それこそ希望退職を募り、リストラするしかありません。
しかし、10%程度の売上ダウンなら営業利益を落とさない、
くらいの備えは必要なのです。
例えば、派遣を活用して、
短期的に人員数を減らせるようにしている会社があります。
その会社はメーカーです。
過去に急激な売上ダウンに見舞われ、
人員削減で大変な苦労をされたのです。
それ以来、正社員は極力減らし、派遣社員を活用しているのです。
当然、仕事そのものも、
派遣社員で来られた方でもすぐに対応できるよう、
標準化、自動化など、工夫を凝らしているのです。
労務費を固定費ではなく、変動費としてとらえ、実践されているのです。
そして何より、少人数で経営できるよう、
仕事のやり方を変えることです。
機械でできることは機械・ロボットを導入する。
データ処理・管理はデジタル化し、アナログ作業をやめる。
スマホを使いこなす割に、中小企業では、
アナログ業務がまだまだ残っているのです。
現在の技術で対応できることは、その技術を活用したほうが、
低労務コストで経営できるのです。
そこで差を付ける会社は、使えるお金が増え、
ますますライバルよりも強くなってゆくのです。
一方、
人員の過剰なる会社は、マサカの坂への対応力が弱く、
その時がきて、大いに慌てることになるのです。
それなら、今から備えをして、
過剰な人員をそぎ落としておいてほしいのです。
(古山喜章)
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