なぜ、少人数私募債を活用しないのか ④
「資金調達は銀行からするもの」
と思い込んでいる経営者が、中小企業では多いです。
銀行以外の調達方法のひとつが、《少人数私募債》です。
銀行からの調達に比べ、多くのメリットがあります。
しかし、そのメリットや内容、発行の進め方など、
ほとんど知られていないのが実情なのです。
④社内の手続きで完了でき、手数料がかからない
「少人数私募債をやろうと思えば、どうすればいいんでしょうか?」
と、経営者が気になるのは、その実務です。
まず、
社外の機関への申し出や提出などは、何もありません。
社内の手続きだけで完了できます。
手順として、概略は次の7つのステップで進めます。
1.取締役会にて少人数私募債発行の決議を行い議事録を残す。
2.募集要項を作成する。
3.発行趣意書を作成し、少人数私募債を引受けてほしい人に渡す。
4.少人数私募債の申し込み書を受け付ける。
5.少人数私募債の決定通知書を引受人に渡す。
6.入金確認書を引受人に発行する。
7.少人数私募債の管理記録を残す。
この流れに沿って、進めることになります。
これらは全て、エクセルやワードでできる事務作業です。
公的機関への申請、提出など、何もありません。
自社で関連する資料を保管するだけです。
一方、銀行が引き受ける社債は、手数料をおもいっきり取られます。
「金利は優遇します」
「一括償還なので資金繰りが楽になります。」
「新聞に掲載されます。」
等と社長に言い寄って社債を発行させ、関連手数料を取るのです。
その手数料が高いのです。
・財務代理人手数料
・登録手数料
・引受手数料
・元利金支払い手数料
・保証協会への保証料
等々、これはいったい何の手数料なのか、
と言いたくなる内容ばかりなのです。
そのため、銀行引受の社債を経験した社長は一様に、
「こんなことならやめておけばよかった。」
とおっしゃるのです。
しかし、少人数私募債は、
そのような外部への手数料は何も発生しません。
社内の手続きだけで、完結できるのです。
特に、自己資本比率を今より高くしたい、
とお考えの会社などは、少人数私募債を発行し、
銀行借入れを少しでも返すなどすればよいのです。
そうすれば、銀行評価の自己資本比率は上がるのです。
中小企業にとって、少人数私募債の活用は、
検討の余地が大いにある、資金調達策なのです。
(古山喜章)
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