誤った税務脳にだまされるな①
「うちの顧問税理士事務所がこう言っているんですが、
そうなんでしょうか?」
という質問を顧問先より時折いただきます。
内容を聞くと、
「えっ!それはおかしいですよ!」
ということがよくあるのです。
経営者自身、疑問に感じるから私たちに連絡してくるのです。
世の中には、誤った税務脳をお持ちの方がおられます。
ICOは、税務のセカンドオピニオンでもあるのです。
①役員と社員で検診内容に差があってはならない
ある顧問先でのことです。
その会社は社員が50人程度で、
取締役はオーナー含め3人のご親族です。
取締役3人は年齢が40代と30代で、若い会社です。
これまで、社員も取締役も、
健康診断は同じ内容のものを受けていました。
なので、その会社の社長に言いました。
「取締役なら、社員と同じ内容の健康診断ではなく、
もっと検査項目の多い人間ドックをしっかり受けてください。」
すると、しばらくしてその社長から連絡が来ました。
「うちの顧問税理士事務所が、
役員と社員で検診内容に差があったら、
その差額分は取締役の給与扱いになりますよ、
と言うんですが、本当にそうなのでしょうか?」
「えぇ?誰がそんなこと言うんですか?
その人は、税理士資格のある人ですか?」
「いやぁ、うちのその担当は、
まだ税理士資格を持っていなかったと思います。」
「まあ私も税理士資格はないですけど、
そのアドバイスは完全なミスリードですよ。」
「そうなんですか?」
「だって考えてみてくださいよ。
世の中には小さな会社もありますけど、大きな会社もあります。
大会社の取締役が、健康診断を社員と同じ内容で受けていると思いますか?
あるいは、内容が異なる分を給与扱いで経理処理していると思いますか?」
「そうなんですよ。
そんなことあるのかなぁ、と思って連絡したんですよ。」
「そんなこと、するわけないですよ。
取締役が社員とは別の検診内容でも、
取締役全員がその検診を受けているのなら、福利厚生費ですよ。
年齢や職務階層別に検診内容を社内で決めて、
そのルールに基づいた検診が行われていればいいんですよ。」
「そうなんですか!確認してよかったです!」
と、このようなことがあったのです。
中小企業には、
顧問税理士事務所の担当が言うのなら、
そうなのだろうか、と考えてしまう社長がおられるのです。
ところが、その見解やアドバイスが、
私たちからしたら大間違い、ということが、あるのです。
社員にしても年齢別で、検診内容を変えてもOKです。
40歳以上だと心電図の検査を追加するなど、しているはずです。
全社員が一律の内容ではないのです。
それでも全社員、福利厚生扱いになっています。
要は、40歳以上はこの内容、取締役はこの内容、
等と、社内基準を設け、
その基準に従って検診を実施していればよいのです。
今回紹介した会社は、若い人材が多いこともあり、
社長自身、健康診断の取り扱いがよくわからなかったのです。
経費処理で何か疑問を感じた場合、
いつでも聞ける、セカンドオピニオンを持っておいてほしいのです。
(古山喜章)
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