役員賞与も損金計上できます⑤
「役員(取締役・監査役)への賞与は損金にできない。」
そう思い込んでおられる経営者が、まだおられます。
確かに、かつてはそうだったのです。
しかし、新会社法が誕生したころから、変わりました。
『事前確定届出給与』という制度を使えば、
役員への賞与は損金計上できるのです。
⑤社会保険料を下げることに活用する
社長の役員報酬を確認すると、
毎月の報酬は15万円か20万円程度にして、
賞与で1500万円とか2000万円の金額で
支給を受けている、というケースがあります。
「社会保険料を下げるためですか?」
とお尋ねすると、
「そうなんです。」と返答されます。
社会保険料は毎月の報酬を元に算定します。
なので、毎月15万円だと社会保険料は低く収まります。
一方、賞与に関しても社会保険料はかかります。
が、賞与の算定額は上限があるので、
その上限を超えた賞与に関しては、社会保険料は一定額です。
全額を毎月の給与で支給を受けるより、
毎月は少額で支給を受けて、賞与で大きく支給を受ける、
ということによって、トータルの社会保険料を低く抑えれるのです。
しかし、気を付けてほしいのは、
役員退職金の支給を受ける時期が見えてきている取締役です。
役員報酬の月額が15万円だと、それが計算の基準になります。
「賞与も含めて12で割ったら、もっと大きいです。」
という理屈は通りづらいです。
役員退職金の支給は概ね、月額報酬を元に算出する方式をとります。
役員退職金規程にも、そう記載しているケースがほとんどです。
特に高額退職金の支給を受ける時などは、
月額報酬をもとに計算することになります。
そのほうが、世間で通例使用されている計算式であり、
税務署の印象を悪くすることがないからです。
少なくとも、役員退職金を受ける前の3年間は、
月額報酬を大きく受ける形にしておいてほしいのです。
月額は少なく、賞与で大きく、という発想を捨ててほしいのです。
「そんなことしたら、社会保険料が上がるじゃないですか?」
とおっしゃる方がいます。
「社会保険料が少し安くなるのと、
退職金で数億円もらうのと、どっちがいいですか?」
と尋ねると、
「わかりました。」となります。
社会保険料を抑えるために、
事前確定届出給与に賞与を大きく記載する方法はあります。
しかし、役員退職金が迫ってきているのなら、
その方法を見直してほしいのです。
最後にもうひとつ、
役員賞与は特別損失で計上してください。
出すか出さないか、わからないものなので、
特別損失で構わないのです。
そのほうが、営業利益が大きく見えて、
銀行格付け(スコアリング)には有利に働きますので。
(古山喜章)
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