M&Aで事業承継する前に整えてほしいこと⑤
後継者の不在により、
事業を継続させるにはM&Aを活用することが最適策である、
というケースが実際に、増えてきています。
私たちICOでもM&Aの仲介業務をさせていただく、
という事例がいくつも出てきております。
とはいえ、M&Aで事業承継するにしても、
今の財務体質のままでは、買い手がつきづらい、
ということが見受けられるのです。
⑤不良の有価証券を整理しておきなさい
中小企業の貸借対照表を見ると、
リターンのない有価証券が存在しているケースがあります。
社長が投資好きでスタートアップ企業に投資したが、
まったくの鳴かず飛ばずで、回収見込みがない。
全額出資で子会社を作ったけれども、
思うようにはゆかず、出資金の有価証券が残っている。
などなど、いくつかのケースがあります。
そのような不良の有価証券も、
M&Aの過程で行われるデューデリジェンス(資産査定)では、
ゼロ円の評価になります。
と同時に、他にも何か不良の資産があるのではないか、
との思いを買い手側に抱かせてしまいます。
もちろん、事業承継しないにしても、
不良資産は貸借対照表の総資産を膨張させるだけです。
銀行が重視する自己資本比率に悪影響を及ぼします。
スタートアップ企業に出資したがリターンの見込みがない、
というのなら、
その株式を安値で子会社へ譲渡すればよいのです。
株式譲渡承認請求書をその会社へ送付すれば、
反対されることはありません。
その会社が債務超過であれば、1株1円で売却しても
構わないのです。
出資金との差額の損失は、売却損として、
特別損失に計上でき、節税にもなります。
100%出資の子会社が思うようにいかない、
というのなら、その子会社を清算すればよいのです。
そうすれば、損失処分することができます。
要は、M&Aでの事業承継を検討するなら、
資産の不良をなくしておいてほしいのです。
ICOが言い続けている、電話加入権もそうです。
デューデリジェンス(資産査定)では、
価値ゼロ円の評価となるのです。
不良となるものが何もない状況であれば、
売る側も自信をもって、希望の売値を要求できます。
それが、希望値を力強く伝えたものの、
あれやこれやと減額要素が明るみに出てくれば、
買い手側も警戒感が高まります。
不調に終わる可能性が高まるのです。
貸借対照表を身ぎれいにしておく、ということは、
銀行からの資金調達だけでなく、
M&Aでの事業承継においても大切なことなのです。
(古山喜章)

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