折れた宝刀⑤
株式評価という場面で、
税務当局の“伝家の宝刀”が抜かれたものの、
結局、納税者(相続人)の主張が認められ、当局は敗訴した、
という事案がありました。
もう一つ、裁判所が判断したポイントがありました。
国税側は、
「相続が発生したタイミングで、
売買契約が成立していなかったとしても、
近い将来、売買契約が成立し、
売却代金が入ってくる可能性が高い、という場合は、
“株式価値=入金されるであろう金額”
として、評価の目安となってもよいだろう」
このように主張していました。
ところが裁判所は、
「このケースでは、
近い将来に売買契約が成立すること、
また、株式がお金に換金される可能性を
評価額の目安とすることは不適切」と判断し、
このケースでは、そもそも、
株式がお金に換金される可能性が高かった、
と認めることはできないと判断されました。
さらに、このケースでは、
相続人が、相続税の負担を減らす、
または、免れさせる行為をしたと、
認めることはできなかった、
ともしています。
色々な要素がからみあって、
今回の裁判所の判断となりましたが、ニュースを見る限り、
相続人サイドで、「不当に税金を抑えよう」と仕組んだわけではないことは
あきらかなように感じました。
今回、伝家の宝刀を抜いた結果、
国税側が負けたことが、
今後どのような影響を及ぼすのか、
何か動きがあれば、このブログでお伝えしていきます。
(福岡雄吉郎)
最近のコメント