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事業承継・M&A

2020年12月11日 (金)

5話連続シリーズ「種類株式活用の難関を超えよ!」⑤

⑤ちょっとややこしい株主は現金買取りで解決せよ

 

近畿地区で事業を続ける中小企業、株式会社関西特殊整備(仮名)

において、事業承継対策のひとつとして、

種類株式を活用することにしました。

しかしそのためには、全株主の同意が必要なのです。

阿図仮市、関西ネクスト銀行の同意を得て、

残る課題は、元社員の奥様に対する、株主対策だったのです。

約5%の議決権を持っておられました。

 

その元社員は、かつての営業部長、森永氏(仮名)でした。

会社にとっては、今の地位を築き上げてゆく真っ只中での、

功労者だったのです。

嘱託社員を経て退職し、その数年後に惜しくも亡くなられたのです。

 

「退職の時点で株を買い取っていなかったんですか?」

山中社長にお聞きしました。

「そうなんですよ。そのときに買い戻していれば、

 今みたいなことはなかったんですが。

 なぜかそのままになっていたんです。

 で、当人が亡くなり、奥様が株式を相続されたんです。」

 

こういうケースを、結構お聞きするのです。

奥様が株式を相続されると、これは少しやっかいです。

単なる財産ではなく、形見の品、のような存在になり、

買戻しをお願いしても、手放そうとしなくなることがあるのです。

「お父さんが残してくれたものを、売るなんてとんでもない!」

となるパターンがあるのです。

 

かといって、種類株式の同意書をもらい、

株主として残ってもらっても、ちょっとややこしい株主となります。

「できれば森永さんの株式は買い戻したいです。」

これが山中社長のご希望でしたし、

私たちもそのほうがいいと判断しました。

あとは、どう買い戻すかです。

 

同族の方ではありませんので、税法に基づけば、

額面での買戻しが可能です。

しかしこのような場合、

少なくとも額面の5倍くらいは提示しないと、

すんなり売ってくれることはないのです。

それはこれまでの経験上、そう実感しているのです。

 

森永元社員の奥様とは、山中会長が既知の間柄でした。

「森永さんには、私が買い取りの話しをしますよ。」

面識のない社長が伺うより、古くから面識のある会長が

交渉したほうが、うまく事が進みそうでした。

こんなとき、誰が交渉に行くのかも、大切なことなのです。

 

続けて山中会長が言いました。

「たぶん、森永さんの奥さんなら、頼めば売ってくれますよ。

 一応、額面の5倍くらいで契約書を交わして、

それとは別に現金で袖の下をしっかり用意しますから。」

こんなときは現金が一番効果的だ、と山中会長は心得ていたのです。

 

で、森永元社員の奥様から株をしっかりと買い取ってきたのです。

「ところで袖の下はどれくらい出されたんですか?」

その後お会いした折、山中会長にたずねました。

「帯付きで5束出してお願いしたら、すぐにOKしてくれましたよ。」

まさに、現金の魔力を感じる瞬間です。

山中社長も驚き、

「あの奥様は何を言われても売らないんじゃないか、

と心配していたけれど…。いやぁ、わかりませんね。

やっぱりお金をケチらないことですね。」

 

これで懸念していた株主の整理や同意の取り付けを終え、

全株主の同意書の捺印を得て定款変更し、

関西特殊整備は種類株式を無事に導入することができたのです。

その後、山中社長はわずかな数の普通株式を会長から買い取り、

議決権の上で支配権を得たのです。

併せて山中会長は種類株式を、役員クラスの従業員数名へ譲渡しました。

会長の手元から、株式財産は無くなったのです。

 

山中社長は言いました。

「株式はやはり分散していると大変ですね。

 身をもって実感しました。

 それに、こういうときには、種類株式の活用は絶大ですね。

 先生方にお会いしなかったら、こんな方法での解決はムリでしたよ。」

その言葉を聞いて、私もようやく、ほっとできたのです。

 

(古山喜章)

2020年12月10日 (木)

5話連続シリーズ「種類株式活用の難関を超えよ!」④

④銀行の株主に同意を得よ(後編)

 

近畿地区で事業を続ける中小企業、株式会社関西特殊整備(仮名)

において、事業承継対策のひとつとして、

種類株式を活用することにしました。

しかしそのためには、全株主の同意が必要なのです。

株主のひとつである、阿図仮市の同意を得て、

次に同意の承認を得る必要があるのは、

地元に支店を構える、関西ネクスト銀行(仮名)でした。

 

いよいよ、支店長、担当者、本部の法務担当4名が来社しました。

こちらは、山中社長と財務担当、そして私の3名ですが、

少し遅れて先代会長が参加する流れでした。

 

関西ネクスト銀行は、関西特殊整備(仮名)と先代時代からの取引先です。

但しここ数年、借入金はない状態です。

関西特殊整備の自己資本比率は60%以上です。

銀行にしてみれば、ぜひとも融資をしたい取引先だったのです。

 

挨拶もほどほどに、法務担当のひとりが切り出しました。

「いやぁ、当行でもあまり例のない依頼でしたので、

 どのような趣旨でおられるのか、ご確認だけさせていただき、

 捺印を進めたいと考えている次第です。」

 

山中社長が心配していたような、

「時価評価で買い取ってください」という雰囲気ではない感じでした。

支店長含め、今後もおつきあいをしたいので、

大きな問題がないのなら、

そのまま関西特殊整備の株式を保有しておきたい、

といった対応だったのです。

 

山中社長から改めて、種類株式活用の内容と趣旨説明をしました。

但し、事業承継対策のため、ということは禁句にしていました。

新たな資本構成で意思決定のスピードアップを図りたい、

ということが一番の目的であることを伝えました。

そして私からは、

銀行は民間企業の議決権株式を5%以上保有できない、

いわゆる5%ルールに関することをお伝えしました。

「種類株式に転換すれば、銀行法で定められている、

 5%ルールにも触れることなく、

そのまま保有していただけますよね。」

「そうですね。問題ありませんね。」

法務担当の方が言いました。

「コンプライアンスへの対応が、何かと大変ですよね。」

「そうなんですよ!」

というやりとりを終えたころに、先代である会長が入室してきました。

 

銀行の4名の態度が引き締まり、改めて挨拶が交わされました。

「今回ちょっとお願いしますけど、よろしくね。」

会長は、厳しいことでもさらっと早口で軽くまくしたてるタイプです。

「何か問題あります?どうですか?なにも問題ないでしょ。」

と矢継ぎ早に投げかけます。

法務担当が答えました。

「はい、特に問題ございません。

十分に理解させていただきましたので、

 同意書をいただければ、こちらからも説明して、進めさせていただきます。」

 

さらに会長が言いました。

「今度、大きな金額の退職金を考えているから、

 そのときはまた、協力してくださいね。よろしくね。」

その言葉に今度は支店長がすぐさま反応しました。

「もちろんです!

 こちらこそよろしくお願いします!」

会長の退職金支給の案件が控えていたので、

そのことを伝えた途端、支店長が急に元気になったのです。

 

こうして、最も気にかかっていた、銀行からの同意も、

無事にいただけることとなりました。

あとは、元社員の親族が保有する株主からの同意をどうするか、

ということだけが残っていたのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年12月 9日 (水)

5話連続シリーズ「種類株式活用の難関を超えよ!」③

③銀行の株主に同意を得よ(前編)

 

近畿地区で事業を続ける中小企業、株式会社関西特殊整備(仮名)

において、事業承継対策のひとつとして、

種類株式を活用することにしました。

しかしそのためには、全株主の同意が必要なのです。

株主のひとつである、阿図仮市には、

普通株式から種類株式への転換の同意を得ることができました。

 

次に同意の承認を得る必要があるのは、

地元に支店を構える、関西ネクスト銀行(仮名)でした。

関西特殊整備とは先代の頃から口座取引のある銀行です。

関西ネクスト銀行が保有している株数は、全体の4.9%です。

先代時代に、

いわゆる持ち合いの形で、互いに株式を譲渡したのです。

 

山中社長に聞きました。

「銀行はどうして4.9%の保有になっているのか、わかりますか?」

「その%に、何か理由があるんですか。」

「そうなんです。

 銀行は民間会社の株式を、議決権で5%以上持ってはいけないと、

 銀行法で定められているんです。

 だから4.9%なんです。」

「そうなんですか。知りませんでした。

 えっ、それじゃあ、阿図仮市の24%が種類株式になって、

 無議決権になったら、銀行が普通株式のままだと、

5%以上の議決権比率になりますね。」

「そうです。そこです。

 このままだと、コンプライアンス上の問題となりかねない、

 というところを、銀行に対してちょっとプッシュするんです。」

「なるほど。その線でいきましょう。」

 

さっそく、関西ネクスト銀行へ社長から電話し、

概略の趣旨説明をした上で、別途、説明文書も、

担当者あてにメール送信しました。

相手が銀行なので、事業承継対策のひとつ、

という匂いは出したくありません。

あくまでも、意思決定をスピーディーにすること、

種類株式の活用を通じて従業員株主の経営参画意識を高めること、

を主眼とすることだけを伝えたのです。

 

すると、支店の担当者と支店長、それに本部の法務部から担当者2名、

併せて4名で来社されることになりました。

同意書への捺印は、法人であれば代表印を押してもらうことになります。

あまり例のないことなので、法務部が動くのも、もっとなのです。

 

また、山中社長の心配が始まりました。

「同意してもらえますでしょうか。

 それとも、同意できないから評価額で買ってくれ、

 とか言われないでしょうか。」

関西特殊整備の株価額は高騰していました。

4.9%の保有でも、軽く1億円を超える状況だったのです。

評価額で株式を買い取るだけの手元資金は十分にあるものの、

できれば資金流出を避けたかったのです。

 

種類株式導入に対する説明のための資料や図表を用意し、

銀行の来社に備えました。

そしていよいよ、4名が来社する日になったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年12月 8日 (火)

5話連続シリーズ「種類株式活用の難関を超えよ!」②

②行政の株主に同意を得よ

 

近畿地区で事業を続ける中小企業、株式会社関西特殊整備(仮名)

において、事業承継対策のひとつとして、種類株式を活用することにしました。

しかし、

発行済みの普通株式を種類株式に転換するには、

全株主の同意が必要となります。

山中社長(仮名)とともに早速、

親族以外が保有する株主による同意を得るべく、

私たちは動き始めたのです。

 

まずは、過去に会社から寄付する形で普通株式を渡した、

関西特殊整備の地元、阿図仮市(仮名)の行政です。

阿図仮市が保有している株数は、なんと全体の24%です。

「しかし、阿図仮市が株を持っている、というのは、

 いったいどこの誰に話しを持ち掛けたらいいんですか?」

「それが…、よくわからないんですよ…。」

「えっ?」

と、いきなり壁にぶつかったのです。

 

「まずは寄付をした当人である、先代に確認してみましょう。」

となり、先代に確認すると、

阿図仮市の文化事業部が窓口となっていることがわかりました。

さっそく、文化事業部の課長に連絡を取りました。

お会いして状況を説明するとともに、

同意書への捺印了承の約束をいただくことにしたのです。

 

阿図仮市が保有する普通株式を、

議決権無し、配当優先、取得条項付き、の種類株式に転換してもらう、

文化事業部の課長には、その了解を取り付ける必要があります。

「どう説明するのがいいですかね。

 それは同意しかねます、とか言わないでしょうか。」

山中社長が頭を悩ませていました。

「私も同行して、内容的なところで説明が必要なときは、

 私がしますから、社長からは、

 これからの世代交代に併せて、より柔軟に早く意思決定を

 できるように株式構成を変えてゆきます、ということと、

 種類株式をお持ちの株主には、優先的に配当ができるようになります、

 とお伝えください。」

と山中社長にお願いし、一緒に阿図仮市の文化事業部を訪問しました。

 

そこそこ立派な打ち合わせ室に案内され、

説明のための資料を準備し終えると、課長が来られました。

「いやぁ、山中社長、わたくし初めてお目にかかります。

 文化事業部の菊島(仮名)と申します。

 いつも御社のおかげで助かっております。」

その態度とあいさつで、山中社長はひと安心した様子でした。

 

ここ数年、配当はわずかであるものの、

それまでは、100%、200%の配当を出したこともあり、

文化事業部が主催する、音楽会や落語会の運営資金となっていたのです。

そのことをお聞きすれば、菊島課長が腰を低くするのもわかります。

山中社長から、種類株主導入の趣旨を説明し、

細かなところは私から補足しました。

 

そして、菊島課長が言いました。

「今後も今まで通りに支援いただけるのであれば、

 私たちとしても同意しますので、

 いつでも同意書をお持ちください。」

要は、配当がいただけるのなら、種類株式に変わっても構いません、

ということだったのです。

 

「ところで、同意書への捺印は、どなたがされるのでしょうか?」

菊島課長にたずねました。

課長が了承しても、他の捺印者が反対しては、どうしようもありません。

なので、誰が捺印するのか、お聞きしたかったのです。

「私が市長の代行で押せますので、心配なさらないでください。」

同意してもらえなかったらどうしよう、

という山中社長の懸念はなくなりました。

支庁舎を出たあと、山中社長が言いました。

「いやぁ、案ずるよりまずは行動することですね。

 同意いただけるようで、心配がひとつなくなりほっとしました。」

 

しかし、次なる株主は、取引銀行です。

銀行にどう説明して種類株式への転換の了承を得るのか、

これがなかなか、やっかいだったのです。

(続く・・・)

 

(古山喜章)

2020年12月 7日 (月)

5話連続シリーズ「種類株式活用の難関を超えよ!」①

①種類種類株式を活用するには、全株主の同意が必要です

 

事業承継時に会社支配権を後継者へ移行する、

その手段のひとつとして、

種類株式を活用する、という方法があります。

通常の普通株式とは異なり、それぞれに特徴のある株式が、

9種類に分かれています。

 

そのなかで、事業承継時に多く活用するのは、次の3つです。

・議決権がない無議決権株式にする

優先配当株式にする

・相続等での分散を防止するための取得条項付き株式にする

この3種類を組み合わせてひとつの株式にして、活用します。

手順としては、定款を変更することが必要になります。

種類株式を発行できる会社にするのです。

 

これ以上の詳細はここでは控えます。

要は、既存の普通株式を種類株式に転換することで、

後継者の経済的負担をできるだけ小さくした形で、

先代から会社支配権を後継者へ移行することができる。

それが、事業承継時における種類株式活用の狙いなのです。

 

ただし、それにはひとつの難関があります。

既存の発行済み普通株式を種類株式に転換するには、

株主総会の特別決議のほかに、全株主の同意書が必要となるのです。

株主が現社長のみ、とか、現社長である父と母だけ、

などという、ごく身近な親族だけなら特に問題ありません。

株主が5人、7人と増えるほど、

「この人は同意しないのではないか?」

という株主が現れるからです。

 

近畿地区で2代にわたって事業を続ける中小企業、

株式会社関西特殊整備(仮名)も、そのひとつでした。

株主が10名に分かれていました。

山中社長(仮名)が我々のもとへ相談に来られました。

「うちも種類株式を活用する形で進めたいのですが…、

 できますでしょうか?」

少し行き詰まった表情で話す山中社長に、次のように答えました。

「その株主の方々とどのようなご関係か、それぞれ教えていただけますか。」

「どういうことでしょうか?」

「同意書に捺印をいただくのに、すんなり押してくれる方ばかりなら、

 10名に分かれていても問題ないです。

 なかに、そうでなさそうな人がいると、少しやっかいになります。

 そういった、ちょっと面倒な株主がいませんか?

 ということです。」

と、山中社長にお聞きしました。

 

「いやぁ、3名ほどいますね。」

「なるほど、どういう方でしょうか?」

「一人は元社員の奥様ですね。

 元社員は亡くなり、その奥様が持っています。

 あとの2名は、個人ではないんです。」

「どういう株主ですか?法人ですか?」

「1社は法人で、うちと取引の長い、関西銀行(仮名)です。」

「確かに、それは面倒くさそうですね。」

「あとひとつは、地元の阿図仮市(仮名)が持ってます。」

「えっ、行政が持っているんですか?」

「そうなんです。」

「なんでまた?」

「先代の時代に、行政の有力者から寄付を頼まれたらしく、

 そのときに、株式を寄付して毎年配当する形にしたんですよ。

 ただ、この3年ほどは、たいして配当できていないんですよね。」

「わかりました。

 それぞれに進め方を考えて、同意書に捺印をしていただきましょう。」

 

となり、まずは地元の阿図仮市から、あたってみることにしたのです。

「しかし、阿図仮市が株を持っている、というのは、

 いったいどこの誰に話しを持ち掛けたらいいんですか?」

「それが…、よくわからないんですよ…。」

「えっ?」

と、さっそく壁にぶつかったのです。

(続く…)

(古山喜章)

2020年11月 6日 (金)

株式は怖い④

株式の譲渡承認について、知られていないのが、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

会社からすると、わけのわからない人間(会社)に

株主といられるのは、気持ちが悪いわけで、

「それなら買い取ります」となるパターンが多いです。

 

「別に少数株主なら、そのまま持ってもらってもいいでしょう。」

と思われる方がいます。

 

もちろん、そのとおりです。

あくまで少数の株主であれば、

出来ることは限られています。

 

株主に持たせるのか、それとも、会社が買い取るのか、

これは、会社の状況によって判断すべきだと思っています。

 

仮に少数株主に株式を持たせた場合、

どんなことがあるとお考えでしょうか?

 

これには、3つあります。

 

①帳簿閲覧謄写請求権

②株主代表訴訟

③自分が株主であることを、言いまわり、風評を落とす

 

①株式の3%以上持っていれば、帳簿を見ることができます。

対象は、決算書、総勘定元帳、補助元帳です。

管理用に作成している事業別の損益とか、役員報酬だとかは、

見せる必要がありません。

また、税務申告書は見せる必要がありません。

10年間はさかのぼって見ることができます。

 

②1株でも持っていれば、

株主代表訴訟を起こすことができます。

③はこのとおりです。

 

結果的に、いろいろなリスクを検討すると、

買い取りを選択する会社が多いのです。

当然、買い取りは交渉ですが、高くつきますね。

 

信じられないような話ですが、

私の周りで、現実に、少数株主が見ず知らずの会社に

株式を売却してしまった、という事案が発生したのです。

 

つくづく、種類株式にしておけば・・・

と悔やまれた事案でした。

 

つい先日も、日経新聞で、

「少数株主の株式を高値で買い取ります」

という書籍が広告に出ていました。

 

この手の話は、今後ふえてきそうです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 5日 (木)

株式は怖い③

株式の譲渡承認について、知られていないのが、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

取締役会の譲渡承認というのは、

売り手のAさんからでも、

買い手のBさんからでも

承認を求めることができます。

 

この意味で、譲渡承認の意味というのは、

事前承認ではなく、事後的な承認の意味でもあるのです。

 

例えば、Aさんから株式を取得したBさんは、

会社に対して、

「このたび、私があたらしく株主になりました。

承認をお願いします。」と求めることができます。

 

この承認が求められた場合、

会社はもちろん、拒否することができます。

 

問題はこの後です。少しややこしいのです。

 

仮に新株主が、ただ単に「株主として認めてくれ」

の一点張りだとしたら、

会社は拒否することができます。

つまり、この場合に限っては、譲渡は成立しないのです。

 

しかし、ほとんどの場合は、

「もし、承認してくれなければ、

私(B)が持っている株式を、

会社が買い取ってください。

 

さもなければ、誰か別の買受人を指定して、

その方が買ってください。」

と条件を付けることができます。

 

こうなると、会社としては、

❶株主Bを、正式に株主として認める

❷株主Bから、株式を買い上げる

 

この二択になるのです。

❶でも❷でも、どちらにとっても、

会社にとっては好ましい状況ではありません。

 

実務的には、ほとんどの場合は、

❷を選択することになります。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 4日 (水)

株式は怖い②

オーナー企業の事業承継にとって大切なことは、

議決権を後継者に集中させることです。

その方法の1つとして考えたいのが、種類株式です。

 

種類株式の主なポイントは、2つです。

 

1.株式は株式でも、議決権のない株式にする

 

2.将来、分散しないように「~の場合は、会社が買い取る」

  という取得条項を付す

 

これを行うことで、後継者は、

少ない株式で、多くの議決権を得ることができ、

株式承継に伴う経済的な負担を減らすことができるわけです。

 

さて、今回、焦点を当てたいのは、

2番目の取得条項です。

 

例えば、株主が亡くなった、会社を辞めた、

就業規則に違反した、などなど、

株主から強制的に株式を買い取る条件を、

会社があらかじめ定めておくことができます。

 

しかも、買い取る際の買取価格も、

予め決めておくことができます。

 

ですので、もし、この取得条項が設定できれば、

将来の株式にまつわる無用な争いを避けられる、

ということです。

 

「当社は、株式を第三者に譲り渡すときは、

取締役会の譲渡承認が必要だと、定款に書いてます。

なので、将来、株式が分散することは、ありませんよ。」

このように思っていらっしゃる経営者は多いです。

 

しかし、それは勘違いです。

実は、譲渡承認がなくても、

株式の移転は成立するのです。

 

それはどんな場合かというと・・・・

株主が死亡した場合です。

 

この場合は、株式は、相続人に相続されます。

取締役会の譲渡承認がなくても、

自動的に相続されます。

 

と、ここまでは、このブログでもご紹介してきたわけですが、

実は、この譲渡承認、もう一つ、大きなポイントがあります。

 

それは、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 2日 (月)

株式は怖い①

オーナー企業の事業承継にとって大切なことは、

議決権を後継者に集中させることです。

 

ほとんどの会社は、

普通株式を発行しています。

普通株式というのは、

1株について1個の議決権を持つ株式です。

 

つまり、議決権を後継者に集中させることは、

株式を後継者に集中させることと、

同じ意味なのです。

 

ところが、毎年利益を稼いでいる会社は、

株式の値段がどんどん高くなります。

すると、株式を移動させようにも、

たくさんのお金が必要になってしまうのです。

 

議決権は、最低でも後継者が51%は

握れるようにしなければなりません

 

51%というのは、全体の過半数のことで、

株主総会の普通決議を単独で可決できる権利です。

役員の選任、解任、役員報酬の決定、

退職金の支給などが主な権利です。

 

理想的には、67%以上の議決権を握れるように

していただきたいです。

 

67%以上というのは、2/3以上ということで、

株主総会の特別決議を単独で可決できます。

 

定款変更、合併など、

組織の一大事に関することを決定できる権利です。

 

しかし、現実に儲かっている会社は、

この株数を後継者に持たせるのに一苦労します。

 

そこで、種類株式が登場するのです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年8月 5日 (水)

認知症の大株主⑥

認知症の初期症状が現れた

淀屋橋工業の創業者であるおじに対して、

北浜兄弟はどのような作戦をとったか?

 

おじさんは会社のことになると、

急に意識がハッキリしだして、「会社はどうだ?」が口癖でした。

ただし、当然ながらご高齢のため、

以前のような会話はしづらくなっているのも事実です。

 

いつ天国からお迎えが来るかもわからないため、

一刻も早く、幹部に対して、おじの株式を

譲渡させたかったのです。

 

そこで、遺言書で、株式を贈与されることになっている、

弟の次郎氏から、タイミングを見計らって、

幹部へ株式を贈与してもらうことの承諾を得ることにしました。

このタイミングの見極めが一番のポイントでした。

 

そして、そのタイミングがやってきました。

どんなタイミングだったか、ご想像にお任せします。

 

次郎氏には、録音しておいてください、と伝えます。

 

次郎氏から、おじさんへ、

「株式のことは私に任せる、と遺言書で書いていただきました。

なので、株式の処分については、私に任せてください。」と伝えます。

 

録音テープを聞くと、かなり弱々しい声で、

「そうだね、わかった。」とのおじさんの返事。

 

その場で、押印済みの株式譲渡契約書まで、入手したのです。

 

次郎氏は、予め、契約書とハンコを用意していました。

実は、次郎氏は、おじさんから実印までも預かっていたのです。

 

その1年後、おじさんである創業者は、

静かに息を引き取ったのです。

 

(福岡雄吉郎)

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