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銀行交渉

2020年11月13日 (金)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」⑤

⑤これぞ真実の“倍返し!”です

 

「関東中央銀行に26億円を振り込む、エックスデーを決めましょうか。」

牧野専務の掛け声のもと、いよいよ、

関東中央銀行をメインバンクの座から引きずり下ろす、

作戦決行日を決めるときがきました。

 

「来月の15日に実行で、よろしいでしょうか?」

居酒屋での密談の場で、

牧野専務は4人の若手銀行マンに問いかけました。

「了解いたしました。よろしくお願いいたします。」

全員一致で決まりました。

その日の朝イチで、各4銀行が牧野建材の口座に、

新たな融資額を入金します。合計で26億円です。

そして、あることを確認したあと、

その全額を、関東中央銀行の口座に振り込み、一気に返済するのです。

 

「返金前に、なにを確認するんですか?」

牧野専務に伺いました。

「関東中央銀行からの入金です。」

「どういうことですか?」

「いま、関東中央銀行の本店が建て替え工事をしていて、

 その工事の建材に、うちの商品を納品しているんです。

 その最後の入金が、来月の15日なんです。」

「なるほど。その入金を確認したあと、26億円を返金するんですね。」

「そうです。新しい本店ビルの柱の数本は、

うちから吸い取った高金利でまかなっているんですから。

それくらいしいないと、社長も私も気がすみません。」

 

ここまでくれば、たいした執念です。

集めた26億円をただ返すのではなく、いかにすれば、

自分たちが経験した悔しい思いをさらに上回る、

瞬時に凍りつく恐怖と後悔に溺れさせることができるのか、

を考えて決めたのが、その日だったのです。

銀行本店建て替えへの建材販売の売掛金回収完了次第、返金し、

自分たちをいじめた銀行担当者たちを青ざめさせる、

というシナリオだったのです。

まさに、これぞ真実の“倍がえし!”なのです。

 

そして滞りなく、

打倒!関東中央銀行5人組の作戦が実行されました。

当然、役員を筆頭に、関東中央銀行の面々が、

血相を変えて牧野建材の社長・専務のもとへ飛んできました。

「うちが何をしたというんですか!」

しかし、社長も専務も、これまでの交渉やお願いに対する

関東中央銀行の態度を指摘し、

一部は交渉時の会話を録音した音声まで、その場で流したのです。

そこには、おどしまがいの言葉も残されていたのです。

 

担当者たちは、万事休すです。

その後、担当者はみな、へき地の支店や取引先へと、

異動や出向で、いなくなりました。いわゆる、左遷です。

一方、密談に集まった若手銀行マン4人は、

それぞれの銀行の出世街道にのり、みな、挨拶にやってきました。

 

「牧野専務のおかげです。

銀行員になって、こんな楽しいことはなかったです。

この地域を離れますが、また一緒に仕事ができれば光栄です。」

一様に、そのような挨拶をして、それぞれの赴任場所へと、

去っていったのです。

社員の給与振込口座や各種入出金に使うメインの口座も、

関東中央銀行から、変更となりました。

密談の中、全員が納得した形で、

集まった4行のうちの一つに決まったのです。

 

「メインバンクを変えるなんて!とんでもない!」

と訴えた古参経理担当者も、もはや何も言いませんでした。

しかし二年ほど時を経過したあと、後継者たちにこう言いました。

「お前たちのやったことは正しかった。

 いろいろキツイことを言って、すまなかった。」

その後の決算書の改善具合を見て、その言葉が出てきたのです。

「自分たちでは、こんな決算書にはできなかった。

 よくやってくれた。」

素直にわびて感謝を示してくれたその言葉で、

ながらく抱えていたお互いのわだかまりは、消えてなくなったのです。

 

いかがでしたでしょうか。

メインバンクは変えれるのです。

というよりも、今やメインバンクといっても、

他行となんら違いはないのです。

借入額が大きかったり、中心的な入出金の口座に使っている、

という違いくらいです。

時代遅れのメインバンク面する銀行があれば、

ためらうことなく、本当に長くつきあえそうな他の銀行に、

変えるべきなのです。

その決断のためには、社長や専務といった

中心的な経営幹部が、銀行を取り巻く現状の知識を蓄え、

よき相談相手を見出し、果敢に取り組んでほしいのです。

(終わり)

 

(古山喜章)

2020年11月12日 (木)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」④

④古参経理担当の猛反発をくらう

 

牧野専務を筆頭に、地方銀行の若手銀行マン4人を含め、

打倒!関東中央銀行5人組の密談が、

夜な夜な居酒屋で展開されました。

 

牧野専務はその都度、私たちのセミナーで学んだ、

銀行融資の条件を銀行マンたちに伝えました。

「金利はタイボ+スプレッドで0.38%、

 担保・個人保証なしでお願いします。」

各銀行マンたちも

「それは大丈夫です。うちなら7億円までいけます。」

などと、それぞれに融資可能額を密談のなかで

出し合い、4行合計の目標額25億円となるよう、

詰めていったのです。

 

ところがです。そこに思わぬ壁が立ちふさがりました。

牧野建材の古参の経理担当者です。

先代の兄弟にあたる親族で、後継者たちにとっては、

おじさんにあたる人物なのです。

関東中央銀行をメインバンクから外そうとする動きを

かぎつけ、牧野社長と専務を呼び出したのです。

 

「君たちはなんということをしてくれるんだ!

 うちが関東中央銀行にどれだけ助けられたと思ってるんだ!

 そんな不義理なことをしたら、もうどこも貸してくれないぞ!

 お前たちは会社をつぶす気か!!

 メインバンクを変えるなんて、とんでもない!!!」

鬼の形相で後継者たちに詰めよったのです。

 

それを聞いて、私も古参経理担当者に面談し、

いまどきの銀行を取り巻く環境が変わってきていることなど、

丁寧に説明をしました。とはいえ、簡単には引き下がりません。

「そんなことをおっしゃいますけど、

 うちの社員の給与振込口座は全員、関東中央銀行ですよ。

 光熱費などの支払いも、その口座から引き落としですよ。

 その口座を変えたり、どれだけの手間がかかると思ってるんですか!」

と、私にもえらい剣幕だったのです。

しかし、その古参経理担当は、大いなる勘違いをしていたのです。

「えっ?そんなこと、経理でやらなきゃダメだと思ってるんですか?」

「はぁ?そりゃそうでしょ。」

「何を言ってるんですか?そんなこと、銀行が来て全部やってくれますよ。」

「え、そうなんですか?」

「そうですよ。口座獲得数も引き落としの獲得数も、

 銀行員の評価点数になる時代ですよ!

 みんな喜んできますよ。うちは1週間ほど、食堂かどこか、

 関東中央銀行に代わる銀行に、

場所を銀行に貸してあげればいいだけですよ。」

「しかし、メインバンクを変えるなんて、

 他の銀行が貸してくれなかったら、どうするんですか?」

「それは牧野専務がすでに道筋をつけています。

 いまは付き合いで貸す時代ではないんです。

 決算書をベースにした、格付け、スコアリングで貸す時代なんですよ。

 あなたの時代とは、違うんです!」

 

というやりとりがあり、

ようやく、古参経理担当の声を、静めていったのです。

一方、牧野専務率いる、打倒!関東中央銀行5人組の計画は、

着々と進んでいました。

そして、4銀行での割り振り額も決まり、

合計26億円を調達できるメドがついたのです。

 

「じゃあ、関東中央銀行に26億円を振り込む、

 エックスデーを決めましょうか。」

牧野専務の掛け声のもと、いよいよ、

関東中央銀行をメインバンクの座から引きずり下ろす、

作戦決行日が決まったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月11日 (水)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」③

③作戦会議は居酒屋で

 

牧野専務が司令官のような形となり、

関東中央銀行をメインバンクから外すべく、

4名の若手銀行マンとの打ち合わせを進めることとなりました。

 

具体的に、関東中央銀行をメインバンクから外すには、

その融資額を返済して、額を減らせばいいのです。

融資額が他行よりも多い、ということだけで、

メインバンク面をしていたのです。

そのときの、

関東中央銀行からの融資額は、約35億円です。

その融資額を、せめて10億円以内にすることを、

目標としたのです。

 

「それだけの額を返すには、関東中央銀行に何か言ったほうが

 よいでしょうか?」

牧野専務から事前に質問を受けていました。

「条件交渉を申し入れただけで、

 “銀行にも考えがある”なんておどしをかけてきたのだから、

 これ以上何も義理立てすることないですよ。

 まとまったお金ができたら、関東中央銀行の口座に振り込んで、

 “お返しします”と言えばいいんですよ。」

「やってみたいですね。どうなるでしょうね。」

「大騒ぎになるのと、

少なくとも担当者はどこかに飛ばされるでしょうね。」

というやりとりを、私と牧野専務でしていたのです。

 

「その4名の銀行マンとは、

どのような形で打ち合わせするんですか?」

改めて牧野専務に質問を投げかけました。

「うちの事務所の近くに、

いい感じの個室のある居酒屋があるんです。

その店に4人を呼んで、作戦会議をしようと考えています。」

「近所の居酒屋ですか!」

「そうです。もうすでに声をかけていて、全員OKです。」

こうして、まるでドラマ「半沢直樹」に登場する、

居酒屋での密談シーンのような打ち合わせが繰り広げられたのです。

 

作戦会議の場に集まる、4名の若手銀行マンは、

みな、異なる地方銀行の出身です。

しかもそれぞれに初対面です。

よくもまあ居酒屋に集めれたな、と感心するのと同時に、

それだけ、“打倒!関東中央銀行!!”の思いを、

各自が持っているのだな、と感じたのです。

 

作戦会議の冒頭、牧野専務は改めて、4人が集まる場で、

確認の言葉を伝えました。

「関東中央銀行からの融資額を減らすには、

 皆さんの協力が必要です。

 ただし、皆さんの銀行からお借りする条件は、

 事前にお伝えしているとおり、

 金利はタイボ+スプレッド、担保・個人保証はなし、

 でお願いしたいのですが、みなさんよろしいでしょうか?」

「問題ありません。すでに内部で了解を得ています。」

居酒屋の個室で、

牧野専務を含め、打倒!関東中央銀行の5人組が、

まさに誓いの盃を交わすような展開となったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月10日 (火)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」②

②メインバンクを引きずり下ろしたい、他行の銀行マンたち

 

関東エリアで建築資材卸売業を営む、牧野建材(仮名)でのこと。

最も多くの金額を借り入れ、メインバンクとしていた、

関東中央銀行の融資条件が、最もひどいものだと知った

牧野専務は、行動を起こしました。

 

関東中央銀行の担当者に条件改善を申し入れたものの、

「そんなことを言うのなら、銀行としても考えがあります。」

と、おどしまがいの言葉を浴びせられ、

牧野専務の闘争心に火が付いたのです。

「メインバンクを切り替えろ!」の合言葉のもと、

あらかじめ考えていた、秘策に動き始めたのです。

 

「わが社に新たに営業にきている銀行マンが、二人いるんです。」

と、牧野専務が切り出しました。

「それは、近隣の地方銀行ですか?」

「2行とも、他府県から越境出店している地銀です。」

「なるほど。じゃあ、その銀行マンたちに協力をあおぐおつもりですか?」

「そうなんですよ。

 先生方のご指導で、他府県から越境している銀行は、

 地元の銀行よりもよい条件で動いてもらえる、と伺っていたので。」

 

牧野建材ではすでに融資を受けている地銀が3行ありました。

そのうちの1行が、その地域で一番有力な、関東中央銀行でした。

他の2行も、地元の地銀です。

私は牧野専務に提案しました。

「じゃあ、うちとすでに取引のある2行の銀行マンも、

 加えて考えたらどうですか?」

「なるほど。新しい銀行も加えて、4行の銀行マンを、

 味方につけるわけですね。」

「そうですよ。どの銀行マンも、うちの借入シェアのなかで、

 関東中央銀行の牙城を崩したいに決まっていますよ。

 すでに取引のある銀行なら、なおのこと、

上司からも指示がでているはずですよ。

協力してほしい、と申し入れたら絶対に喜びますよ。」

「その方向で動いてみます!」

 

このようないきさつから、

「関東中央銀行からの融資を一気にどっさり返して、

 うちの借入最大額の座から引きずり下ろしたい。

 協力してもらえますか。」

と、牧野専務は4行の各銀行マンに投げかけました。

4人とも、

「喜んで協力させていただきます!」

と、意気揚々に返事が返ってきたのです。

 

こうして、4行の若手銀行マンを迎えての、

“打倒!関東中央銀行”ともいうべき作戦会議が、

牧野専務の指令のもと、動き始めたのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月 9日 (月)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」①

関東エリアで建築資材卸売業を営む、牧野建材(仮名)でのことです。

卸売業は、在庫を抱える商売で、売ったあとの回収も長い、

という事業特性があります。

そのため、それなりの資金需要が常についてまわります。

 

ただし、牧野建材は単なる卸売業ではありませんでした。

建築資材の加工もしたうえで、納品していました。

付加価値がある分、ライバルよりも粗利益が高かったのです。

それは、私たちのセミナーで学んだ、

後継者である牧野社長と、弟の牧野専務の功績だったのです。

 

牧野建材は、絶えず数十億円の資金需要があるうえに、

同業他社よりも営業利益が多いのです。

近隣の銀行にすれば、

なんとしてでも融資をしたい、おいしい地元企業のひとつだったのです。

 

ある日、銀行交渉についての私たちのセミナーのあと、

弟の牧野専務から相談がありました。

「うちの借入先は地方銀行3行と政府系1行です。

 メインバンクは地元で一番強い関東中央銀行(仮名)です。

 ところが金利や条件を調べてみたら、

 この銀行が一番悪い条件なんですよ!」

「いままで条件知らなかったんですか?」

「恥ずかしい話し、

これまで、先代の社長とその時代の経理担当で銀行交渉を

仕切っていたので、我々後継者は、わからなかったんです。」

 

借入金の総額は、約60億円です。

内訳をみると、関東中央銀行からの融資額が約35億円、

政府系銀行が約10億円、

あと15億円を、他の地方銀行から調達している、

といった状況でした。

 

牧野専務いわく、

「関東中央銀行は金利が一番高い上に、借入額が一番多いんですよ。」

「どうしてそんなことになっているんですか?」

「結局、先代社長や古参の経理担当には、

 かつて関東中央銀行に助けてもらった、という恩義があるらしいのと、

 ここが貸してくれるから今のわが社がある、

 と思いこんでいたんですよ。」

「典型的な、銀行サマサマ病ですね。」

「そうなんですよ…。」

「で、どうしたんですか?」

「まずは代がわりしたので、改めて関東中央銀行に交渉しました。」

「何を交渉したんですか?」

「金利をタイボ+スプレッドに変えて下げることと、

 担保・個人保証を外すことです。」

 

そのときの条件は、

固定金利1.85%、担保・個人保証あり、だったのです。

牧野建材の自己資本比率は約15%でした。

その当時の金利相場でいえば、1%を切るのは当たり前、

0.7%が平均くらいだったのです。

平均よりも1%以上、高い金利だったのです。

融資額が35億円なので、4千万円近く、

無駄な高金利を払っていたのです。

 

「で、交渉してどうだったんですか?」牧野専務に尋ねました。

「“そんなこというなら、うちにも考えがあります。”

 て担当者から言われて、ムカッときたので、

 “おどしですか”と言い返しました。」

理不尽ないことを言われると熱くなる、

牧野専務の性格に火がついた瞬間でした。

 

「関東中央銀行を、

メインバンクから外しても構わないでしょうか?」

「ぜんぜん構わない。いまどきメインバンクといっても、

 融資額のシェアが大きいだけで、なんの役にも立たないでしょ。

 実際、条件は最悪なんだから。」

「そうですよね。安心しました。

 メインバンクを切りはずす方向で、動いてゆきます。」

牧野専務は社長にも了解をとったうえで、

メインバンクである関東中央銀行からの融資を切り外すべく、

動き出しました。

牧野専務には、密かに描いている、秘策があったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年10月30日 (金)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」⑤

 

結局、政府系銀行からの借入金11億円は、

支払い能力がないことから返済義務を免れることとなり、

三船社長のもとには、約2千万円の借金のみが残ったのです。

その残金は、今も粛々と返済を進めておられるのです。

 

「政府系銀行は、

今になってそのありがたさが、しみじみよくわかります。」

とは、三船社長の言葉です。

私も改めて、複数の銀行から資金調達するなら、

政府系を入れるべき、と実感させていただきました。

 

そもそも、政府系銀行には、他の市中銀行にはない、

ありがたい特徴があるので、再確認いたします。

1.預金をする必要がない

2.“待ってください!”と懇願すれば待ってくれる

3.余計なセールスをしてこない

4.不良債権となってもサービサーへの売却はない

 

順を追って確認してゆきます。

 

1.預金をする必要がない

政府系銀行は、国の予算から資金を得てそのお金を貸す、

という流れの融資が基本です。

集めた預金を貸す、という市中銀行とは、ここがまず違うのです。

市中銀行の場合、その銀行支店に口座を持ちます。

融資を受けていれば、預金も必ず発生します。

しかも、銀行の言うがままだといまだに、

融資を受けてその一部を定期預金に積む、

という、歩積み両建ても中小企業では発生しているのです。

歩積み両建ては、金融庁が禁止していることのひとつなのです。

 

2.“待ってください!”と懇願すれば待ってくれる

破綻まで行かずとも、資金繰りが行き詰まったとき、

“頼みます!”“拝みます!”で返済猶予してもらえます。

特に、災害などの危機発生時は国からも、

要望があれば猶予しなさい、との指示が下ります。

苦しい時に、待ってもらいやすいのは、大いに助かることなのです。

 

3.余計なセールスをしてこない

“いい株ありますけど、いかがでしょうか?”

“新しい金融商品が出たので、ぜひご説明にあがります!”

など、市中銀行は何かとセールスにやってきます。

政府系銀行は、必要のない商品を売り込んできません。

余計な時間をとられることがないのです。

 

4.不良債権となってもサービサーへの売却はない

今回紹介した、三船物産がいい例です。

サービサーへの売却はなく、

政府系銀行の内部処理で済ませてもらい、

借金を返済する必要がなくなったのです。

やむを得ず事業が立ち行かなくなったとき、

このことは他の市中銀行にはない、大きなメリットなのです。

 

これらのことから、

複数の銀行から融資を受けて事業を展開するのなら、

そのうちの1行は、政府系銀行を活用してほしいのです。

最悪の事態に陥ったとき、少しでも負担を軽くできるのです。

今回紹介した三船社長も、

「政府系のおかげで先が見えるので、

気分的には借金を全部かかえていたときよりずっとラクです。」

とのことだったのです。

破綻のような状態に陥ることなきよう、

経営に取り組むのが先決ですが、

最悪の時のことを考えておくことも、経営者には必要なのです。

 

(古山喜章)

2020年10月29日 (木)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」④

 

三船物産の借入金のうち、

メガバンクと地方銀行、いわゆる市中銀行の借不良債権は、

サービサーへ全て売却されました。

残るは政府系からの借入金11億円です。

 

「それはどうなったんですか?」

「あれはねぇ、チャラですわ。」

「チャラ?まったく返済せずですか?」

「そうなんですよ。

 いやぁ、先生方の本にもありますけど、

 政府系はほんとにありがたいですね。」

と、三船社長はしみじみ語り始めたのです。

 

「ということは、

サービサーには流れなかった、ということですか?」

「そうなんですよ。

 政府系の銀行は、融資したお金がこげついて不良債権化しても、

 サービサーに売却することは、ないんですよ。

 これはものすごく助かりました。」

 

確かに、

サービサーへ売却されて返済を厳しく迫られるようなことがない、

というだけでも、

精神的な負担は大きく異なったことと思われるのです。

とはいうものの、

どのような流れで11億円を返済しなくてもよい、

ということになっていったのかが、

私は気になってしかたがなかったのでっす。

 

「しかし、その時の融資残高が約11億円ですよね。

 チャラといっても、実際、どうなったんですか?」

「それはですねぇ、

政府系銀行の担当者が裁判所の許可を得て、

 会社も保証人も返済できない、ということで、

 全部処理してくれましたね。」

「社長自身はなにもせずですか?」

「手続きはこっちで全部やりますよ、と言ってくれて、

 結局、私はたくさんの書類にハンコ押しただけですね。」

 

「自己破産の処理ではないんですか?」

「違います。自己破産はしていないんです。

 会社は今も存在はしているし、私も普通に勤めて、

賃貸で生活してます。

会社宛の郵便物はいま、私の家に届くようになってます。」

 

と、このような経緯で、

政府系銀行からの融資約11億円は、

返済しなくてもよくなった、ということなのです。

三船社長にとって、事業をやめたあと、

この負担がなくなったことは、

「大きい肩の荷が軽くなって、かなりラクになりました。

 政府系はありがたいですねぇ・・・。」

とのことだったのです。

次回はまとめに入りたいと思います。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年10月28日 (水)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」➂

 

三船物産がメガバンクと地方銀行から借りていた、

10億円の借入金は、不良債権処理されることになりました。

三船社長によると、その時点で、事業は大幅に縮小されたのです。

不良債権処理の手段として、担保物件は回収され、

残債は各銀行とも、系列の債権回収会社、

いわゆるサービサーへ債権を売却したのです。

 

三船社長にたずねました。

「メガバンクと地方銀行、全部で8行とお聞きしましたけど、

 それが全部、サービサーへ売却されたんですか?」

「そうです。なんの打診もありませんでした。」

「どのくらいの額で売却されたんですか?」

「そうですねぇ、だいたい、1億円の不良債権が1千万円で

 売却されましたね。」

「ということは、借入金残高の10%くらい、ですね。

 じゃあ、10億円の借金が、1億円になった、ということですか?」

「まあ、そういうことですね。

 でも、サービサーのほうが、取り立ての追い込みがキツイですよ。」

 

三船社長にとっては、

あまり思いだしたくないこととわかりながらも、

さらにおたずねしてゆきました。

 

「どうキツイんですか?」

「事実上の廃業状態なので、個人保証していた私のところに

直接くるのはもちろん、文書も電話もしょっちゅうきますからね。

 見た目も言い方もガラ悪いし。

 銀行のほうが気分的にラクです。

 それに、とりたてられても、もう払うお金もないですしね。」

「精神的によく持ちましたね。」

「もうケツまくってね。どうにでもしてくれ、言うたんですよ。

 ないもんはない!と言って。」

「なかなか、強いですね。」

「そうでしょ。わたし、何かこういう時、へんに強いんです。」

 

いつもどこか楽観的だった三船社長らしい返しに、

もう少しお聞きしてもいいだろう、という雰囲気を感じてきました。

 

「で、そのサービサーへの返済はどうなったんですか?」

「それがまた不思議なんですよ。」

「どう不思議なんですか?」

「最初は8社とも、“早く返せ!”

とうるさく言ってきてたんですけど。

 3年くらい経った頃から、4社は何も言ってこなくなりました。」

「そうなんですか?返済はしているんですか?」

「最初はみんな、わずかながらボチボチ返してましたよ。

 でも何も言ってこなくなったところにはもう、返していないです。

 なので、もうほったらかしにしてます。

 わざわざこっちから声かけることも、したくないですし。」

「どこの銀行のサービサーですか?」

「他府県からきている地方銀行のサービサーですね。」

 

結局、メガバンクと地方銀行の8行からの借入金は、

サービサーへ売却されたものの、そのサービサー8社も、

数年後には4社が音沙汰なし、となったのです。

その時点で、サービサーへの返済も、

半分になったみたいなものなのです。

 

「しかし、政府系からの借入れが大きかったでしょ。」

「1行で11億円ですからね。」

「それはどうなったんですか?」

「あれはねぇ、チャラですわ。」

「チャラ?まったく返済せずですか?」

「そうなんですよ。」

 

チャラになったとは、どういうことなのか。

さらに伺うと、中小企業にとって、やはり政府系は必要だな、

と思わざるを得ない実態を、知ることとなったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年10月27日 (火)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」②

 

事業をやめて5年で、20億円の借入金が2千万円になった、

という三船社長(仮名)にお会いし、

いろいろ、ここに至る経緯のお話しを伺いました。

 

「事業をやめられた時の借入金額はどのくらいだったんですか?」

「21億円に近いくらいでしたね…。」

銀行別の内訳をお聴きすると、

メガバンクと地方銀行の市中銀行が約10億円。

残りの約11億円は政府系銀行です。

 

「メガバンクと地方銀行といっても、

 中心は地方銀行ですよね。」

「そうです。

 メガバンクはそこまで行くまでに、

 『もうこれ以上は貸せません』となって、

 残高がいくらも残っていない状況だったので。

 その動きはやっぱり、早かったですね。」

「確か、緑のメガバンクでしたよね?」

「そうです。よく覚えてますね。」

 

借入金が過剰になってゆき、

返済能力に黄色信号、赤信号がちらつき始めると、

メガバンクはまず、折り返しの転がし融資を拒み始めます。

逆に言えば、

メガバンクがそのようなことを言い出すのなら、

格付(スコアリング)で言えば、10ランクのうち、

下から2番目「実質破綻先」レベルと評価されている、

ということです。

 

地方銀行はその時点ではまだ、

1ランクのゲタを履かせて、

下から3番目「破綻懸念先」レベルの評価とし、

融資を継続しているような様子なのです。

結局、地方銀行のほうが融資先に困り、

金利も思うように稼げません。

それならば、

“貸せるなら、泣くまで貸そうホトトギス”

といった心境に、地銀マンは陥るのです。

 

それに、資金繰りに困っている会社は、

資金需要もあれば、金利の交渉など仕掛けてきません。

銀行の思惑どおりの金利条件で通るのです。

なぜなら、資金繰りに行き詰まっている社長は、

「貸してもらえるだけでありがたい!」

という状況に陥っており、交渉する気など、さらさらないのです。

利ザヤ稼ぎに苦しむ地方銀行には、ありがたい話しです。

泥船とわかっていても、ギリギリまで乗り続けたいのです。

 

「最後の時点で、メガバンクと地方銀行で、

 全部で何行あったんですか?」

「8行です。

 あとは政府系1行で、全部で9行ですね。」

「地方銀行も、他府県の銀行が多かったですよね。」

「10億円の半分強が、他府県の地方銀行です。

 よほど他に貸すところがなかったのか、

 最後までよく粘って貸してくれました。」

 

「で、最後はどうなったんですか?」

「メガバンクと地方銀行の残債は、サービサーに売られました。」

銀行間で協議を諮り、全行一致で、

不良債権処理を行うこととなり、

有無を言わさず、サービサーへと流れていったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年10月26日 (月)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」①

 

ある日、訪問先への移動途中、羽田空港に着いてすぐ、

スマホに着信が入りました。

画面に出る相手の名前を見て、驚きました。

約10年前に訪問していた会社の社長だったのです。

中部地区で食品卸売業を営んでいた、三船物産(仮名)の三船社長です。

訪問終了後、電話で数回やりとりしたことはありました。

が、その後は年賀状や暑中見舞いのやりとりはあるものの、

長らく連絡をとることはなかったのです。

 

「はい!古山です。」

「先生たいへんご無沙汰しております。三船です。」

不思議なもので、聞きなれた声を耳にするだけで、

10年間の空白が一気に溶けてゆきます。

 

「いやぁ、あまりに久しぶりでびっくりしました。

 変わらず元気なお声ですね!」

「元気にしております!」

「また急にどうされたんですか?」

単刀直入に聞いてみました。

「このあいだ、新聞広告で先生のお顔を拝見して、

 久しぶりに電話してみようかな、と思ったんです。

 実はあのあと、5年後くらいに商売やめたんですよ。」

「えっ!そうなんですか!」

「そうなんです。

 先生方のおかげで在庫減らしたり、銀行交渉したりして、

 あのときは改善したんですけど、

 その後また、厳しくなっていったんです。」

 

卸売業は、在庫を多く抱えがちです。

しかも、三船物産の取引先は、仕入れる先も大企業、

売り先も多くが大企業、とその間にはさまれる卸売業でした。

買う側からも、売る側からも価格をたたかれます。

加えて、払いは早く、回収は遅い、

というのがその業界の悪しき商習慣であったため、

その改善は、10年前でも容易ではなかったのです。

 

「倒産したんですか!」

「倒産ではないんです。会社は存在しているんですけど、

 もう何も事業をやってないだけです。幽霊会社です。

 結局、資金繰りがにっちもさっちもいかなくなったんです。」

「後継者の長男と次男はどうされたんですか?」

「ふたりとも別々に、小さい事業をやってますわ。」

「で、三船社長は今、どうされてるんですか?」

「近所の物流会社で雇ってもらって仕事してますよ。」

「しかし、事業をやめた、といっても、

借入金が10年前でたしか、20億円くらいあったでしょ。」

「ありました。」

「あれはどうなったんですか?

 個人保証も担保もされていたでしょ?」

「そうなんですよ。

 今もぼちぼち返してますけど、

あともう、2千万円ほどでなんとか完済です。」

「えぇ!そうなんですか!!」

 

事業をやめて、残った20億円の借入金がどうなり、

どのような経緯で、

返済残高がわずか5年で2千万円程度にまで縮小したのか。

そのことへの興味がふつふつと湧き出し、

改めて別途、久しぶりに三船元社長にお会いすることにしたのです。

 

お会いした三船社長から聞く内容には、

マサカの坂に備える教訓となる事実が、

盛りだくさんだったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

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