少数株主からの買取請求を阻止せよ!④
“非上場会社の少数株主のお悩みを解決します!”
といった弁護士事務所の新聞広告を見る機会が増えてきました。
“その株、高く買ってもらえますよ”というわけです。
中小企業には、株式の数パーセントを保有している、
いわゆる少数株主が存在する、という会社が山のようにあります。
そこに商売のタネを見出した弁護士事務所が現れてきたのです。
④警戒する少数株主をどう説得するのか
少数株主からの譲渡承認請求を阻止するには、
取得条項付き種類株式を活用するのが最適です。
ただし、それには株主の同意が必要となります。
それも全株主の同意です。
株主総会の特別決議で定款変更するだけでは、できないのです。
面倒くさい少数株主の株式だけを、
都合よく種類株式に変更しようとすれば、
その少数株主は警戒してイエスとは言いません。
取得条項付き株式への転換に同意など、するはずがないのです。
では、
種類株式に変更したい株主の同意を得るために、
どうするかです。
これまで実際にあったケースで言えば、
全ての株式を取得条項付き種類株式に変える、
という方法です。
少数株主だけでなく、全株主の株式を取得条項付きに変えるのです。
メインターゲットとなる少数株主には、
「株式が不本意な形で分散してゆくのは、会社にとってよくない。
だから今のうちに全部の株式を取得条項付きの種類株式にして、
会社を守るための策をうっておきたい。
それには全株主の同意が必要となるので、協力してほしい。」
と伝えて、
取得条項付き株式の説明をし、同意書に捺印をいただきました。
それでも完全に人間関係がこじれている間柄であれば、
警戒して同意しないかもしれません。
不穏な関係にはなっていない時点で同意を求めるから、
わりとすんなり進んだのです。
もし、
“この株主ならひょっとすると、
弁護士を通じて「株式譲渡承認請求書」を送りつけてくるかもしれない”
あるいは、
“今は人間関係に問題ないけれども、
いまのうちに取得条項を付けておきたい”
と思い当たる少数株主がいるのなら、
ぜひとも種類株式の活用を検討していただきたいのです。
(古山喜章)
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